ABSTRACT 318(5-11)
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神経芽腫におけるp73 遺伝子の解析:楊 宏偉1,2,朴 慧英1,陳 迎章1,滝 智彦1,橋都浩平2,花田 良二3,山本 圭子3,林 泰秀1(東大・医・1小児・2小児外・3埼玉小児セ・血液腫瘍)

Expression and mutational analysis of p73 gene in neuroblastomas: Hong Wei YANG1,2, Hui Ying PIAO1, Ying Zhang CHEN1, Tomohiko TAKI1, Kouhei HASHIZUME2, Fumio BESSHO1, Ryoji HANADA3, Keiko YAMAMOTO3 and Yasuhide HAYASHI1 (1Dept. of Pediatr and 2Pediatr Surg, Faculty of Med, Univ. of Tokyo, Tokyo; 3Div. of Hemotol/Oncol, Saitama Children's Med. Ctr.)

【目的】p73蛋白質の構造と機能はp53蛋白質に類似し、癌抑制遺伝子と考えられている。今回、我々は神経芽腫におけるp73遺伝子の異常を解析した。
【対象と方法】神経芽腫細胞株20株、新鮮腫瘍32検体を用いてRT-PCR法にて発現の検討を行った。またp73遺伝子のゲノムの異常を調べるためSouthern blottingを行った。またp73遺伝子の一部のexonとintronの境界を決定し、PCR-SSCPとRT-PCR-SSCP法を併用して細胞株24株、新鮮腫瘍88検体におけるこの遺伝子の変異を検討した。
【結果とまとめ】正常末梢血では、p73遺伝子はαとβの二種類の転写産物を発現していた。細胞株20株中15株で発現減弱を認め、1株で消失、2株でα転写産物のみ発現していた。新鮮腫瘍32検体では、26検体で発現減弱、2検体で消失、α転写産物のみの発現は6検体、β転写産物のみは4検体で、検体により発現の相違がみられた。Southern blottingでは、p73遺伝子の再構成とhomozygous deletionは認められなかった。PCR-SSCPでは、exon 2の4番目(A→G)と14番目(T→C)の多型を検出し, また, RT PCR-SSCPでは, codon 336でGCC→GCT の多型を検出したが変異はみつからなかった。これらの結果より,p73遺伝子は神経芽腫の発症や予後への関与は少ないと思われた。