ABSTRACT 320(5-11)
大腸癌96例における染色体1p36領域のヘテロ接合性消失とp73遺伝子変異解析:砂原正男1,2、一宮慎吾1、影山肇1、二村好憲1,3、崎山樹1、佐藤裕二2、藤堂省2、安達亙3、天野純3、中川原章1(1千葉がんセ・研・生化、2北大・1外、3信大・外)
Loss of heterozygosity study at 1p and mutation analysis of p73 gene in 96 colorectal cancers : Masao SUNAHARA1,2, Shingo ICHIMIYA1, Hajime KAGEYAMA1, Yoshinori NIMURA1,3, Shigeru SAKIYAMA1, Yuji SATO2, Satoru TODO2, Wataru ADACHI3, Jun AMANO3, Akira NAKAGAWARA1 (1Div. of Biochem., Chiba Cancer Ctr. Res. Inst., 2First Dept. of Surg., Hokkaido Univ., 3Dept. of Surg., Shinsyu Univ.)
(目的)染色体1pは大腸癌を含む多くの腫瘍で欠失が報告されており、1つまたは複数の癌抑制遺伝子の存在が示唆されている。今回、大腸癌検体にて1p遠位領域のLOH studyを行うとともに、1p36.33にmapされているp73遺伝子の変異解析を行った。(方法)大腸癌手術検体96例よりDNA、RNAを、同患者の血液DNAとともに抽出した。LOH解析には1p36を中心とした17種のmicrosatellite markerを用いた。p73遺伝子変異の検索にはRT-PCR SSCPを用いた。(結果および考察)1p遠位のLOHは現時点で全症例の47% (45/96) にみられており、共通欠失領域を狭めるべく検討中である。p73のLOHは17% (informative 46例)で、RT-PCR SSCPではexon9および14に移動度の異なるband をみたためDNA sequencingを施行したが、polymorphism のみで変異はみられなかった。1p遠位領域においては、大腸癌ではp73遺伝子とは異なる別の癌抑制遺伝子が関与していると思われた。