ABSTRACT 322(5-11)
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p53関連遺伝子p73の発現解析ー両アレルからの発現:千勝紀生1,谷口俊恭1,本倉徹1,浅野茂隆2,藤田敏郎11東大4内,2東大医科研病態薬理)

Expression of a p53 relative, p73ーNo imprinting:Norio CHIKATSU1,Toshiyasu TANIGUCHI1,Toru MOTOKURA1,Shigetaka ASANO2,Toshiro FUJITA1 (14th Dept. of Int. Med., Univ. of Tokyo,2Inst. of Med. Sci., Univ. of Tokyo)

【目的】近年p53の類縁遺伝子として1p36上に局在するp73が報告され,imprintingで一方のアレルのみ発現するがん抑制遺伝子である可能性が指摘されている.そこで我々は,血液系腫瘍細胞におけるp73の関与を明らかにするためその発現を解析した.【方法および対象】正常者41名の末梢血からDNAとRNAを抽出し,PCRとRT-PCRで,既報のpolymorphismとアレルの発現を解析した.また,血液系細胞株43株を用いて,同様の解析を行ない,また,ノザン解析を行なった.【結果】正常者41名の解析では,polymorphismのATとGCの遺伝子頻度はそれぞれ0.21と0.79であった.内9例でATとGCのheterozygoteが認められたが,Kaghadらの報告と異なり,全例で両アレルからの発現が検出された.細胞株のheterozygoteの頻度(11/43)は正常人と同様であった.一方,ノザン解析で43株中9株で過剰発現が認められ,U937細胞では異常なmRNAが検出された.【考察】p73遺伝子の発現にimprintingは認められない.しかし,発現レベルが細胞株で大きく異なる点や,異常なmRNAが検出されることから,p73が血液系細胞の腫瘍化に関与している可能性が示された.