ABSTRACT 324(5-11)
NE-dlgのPDZ領域に対する結合蛋白nedasinの解析:桑原博昭1,2,荒木令江1,牧野敬史1,増子尋郎1,小川道雄2,佐谷秀行1(1熊本大・医・腫瘍、2第二外科)
Characterization of nedasin, a novel binding protein for the PDZ domains of NE-dlg: Hiroaki KUWAHARA1,2, Norie ARAKI1, Keishi MAKINO1, Norio MASUKO1, Mitio OGAWA2, Hideyuki SAYA1 (1Dept.Tumor.Genet.Biol., 2Dept.Surg.II.Kumamoto Univ.)
【目的】ショウジョウバエの癌抑制遺伝子dlgと相同性を持つ遺伝子群は、MAGUK familyと呼ばれ、細胞接着部位や神経末端に局在し特定の蛋白を集積させる機能を持つ。我々が単離した神経や内分泌組織に高発現するヒトdlg遺伝子NE-dlgは、非増殖細胞で蓄積する傾向を認め、癌抑制蛋白APCと結合することから細胞増殖に対して抑制的な機能を持つことが推測された。昨年、我々は、NE-dlgに結合する新規蛋白nedasinを単離した。今回は、nedasinの詳細な機能を明らかにすることを目的とした。【結果】nedasinはヒトの9番染色体に位置し、脳、肝、腎で高発現していた。nedasinはほ乳類には相同性を有する既知の遺伝子は認めなかったが、酵母に高い相同性を有する遺伝子を認めた。nedasinのC端には、PDZ領域に結合することで知られているアミノ酸配列モチーフS/TXVを認め、NE-dlgのPDZ1とPDZ2領域に結合した。nedasinはC端の構造が異なるスプライスフォームを有し、そのスプライス変化によってNE-dlgとの結合が調整されていた。nedasinは、MAGUKsのPDZ領域に結合するNMDAレセプターのサブユニット2BとNE-dlgとの結合を競合的に阻害した。【考察】nedasinは進化の過程で良く保存された遺伝子で、NE-dlgと結合することでその機能を調整することが考えられた。またその結合はスプライス変化によって調整されることから、nedasinは他にも機能を持つことが考えられ現在その解析を進めている。