ABSTRACT 325(5-12)
小児白血病におけるp16とp15遺伝子のメチル化の検討: 郭淑霞1, 滝智彦1, 大西宏明1, 別所文雄1, 江口真理子2, 鎌田七男, 花田良二3, 林泰秀1(1東大・医・小児, 2広島大・原医研・分子細胞遺伝, 3埼玉小児医セ)
Hypermethylation of p16 and p15 genes in childhood leukemia: Shuxia GUO1, Tomohiko TAKI1, Hiroaki OHNISHI1, Fumio BESSHO1, Mariko EGUCHI2, Nanao KAMADA2, Ryoji HANADA3, Yasuhide HAYASHI1 (1Dept. of Pediatr., Univ. of Tokyo; 2Dept. Cancer Cytogent., Res. Inst. Rad. Biol. & Med., Hiroshima Univ., 3Saitama Child. Med. Ctr.)
【目的】p16とp15遺伝子はcyclin dependent kinase 4 inhibitorで、細胞周期の制御に関与する。p16とp15遺伝子は種々の腫瘍において不活化がみられ、特にリンパ系腫瘍で不活化の頻度が高い。今回、我々は白血病においてp16とp15遺伝子のメチル化の検討を行ったので報告する。【対象と方法】対象はAML29例、乳児白血病58例および原則として Homozygous deletion (HD)のない白血病細胞株43株(T-ALL4株、common(c) ALL14株、B-ALL11株およびAML14株)で、これらよりDNAを抽出し、methylation sensitive enzymeであるSmaI, SacII, EagIを用いてサザンおよびPCR解析を行った。【結果】p16のメチル化は、新鮮検体ではAML29例中11例(38%)、乳児白血病58例中30例(52%)、細胞株ではAML14株中5株(36%)、T-ALL3株中1株、c-ALL14株中1株、B-ALL11株中6株(55%)にみられた。このうち、HDがなく蛋白発現がなかったT ALL1株中1株、c-ALL3株中1株、B-ALL6株中6株にメチル化がみられた。一方、p15のメチル化は新鮮検体AML29例中14例(48%)、乳児白血病58例中13例(22%)、細胞株ではAML14株中7株(50%)、c-ALL7株中1株、B-ALL11株中3株にみられた。【考案】HDの頻度が低い白血病においてもp16の不活化にメチル化が関与していることが判明した。また、p15遺伝子についてもメチル化が比較的高頻度にみられ、p16とp15遺伝子は小児白血病の発症、進展に重要な役割を有すると思われた。