ABSTRACT 327(5-12)
胃癌における癌関連遺伝子のメチル化:鈴木拓、伊東文生、豊田実、垣内英樹、日野田裕治、今井浩三(札幌医大・1内)
Hypermethylation of cancer related gene promoter region in human gastric cancers: Hiromu SUZUKI, Fumio ITOH, Minoru TOYOTA, Hideki KAKIUCHI, Yuji Hinoda, Kohzoh IMAI (1st Dept. Int. Med., Sapporo Med. Univ. Sch. Med.)
(目的)p16など癌抑制遺伝子がプロモーター領域のメチル化により不活化されていることが種々の癌において報告されている。今回、我々は胃癌におけるp16、hMLH1、E-cadherinなどのメチル化を解析し、発癌における役割を考察することを目的とした。
(材料・方法)胃癌培養細胞株8株および手術切除された胃癌50例を対象とした。抽出したDNAに対し、Sodium bisulfite処理およびPCRを組み合わせたMSP (methylation specific PCR) やCOBRA (combined bisulfite restriction analysis)によりp16、hMLH1及びE-cadherinのプロモーター領域のメチル化を検出した。更にRT-PCR、Northern blot、免疫染色などにより発現の低下を確認した。
(結果)p16のメチル化は50例中27例、hMLH1のメチル化は3例認められた。E-cadherinのメチル化も胃癌細胞株、胃癌組織ともに確認された。更に現在、他の癌関連遺伝子に関しても解析を進めている。
(考察)胃癌における癌関連遺伝子のメチル化はこれまで培養細胞株において報告が見られたが、実際の症例においても高頻度にメチル化が関与していることが示唆された。また、メチル化の検出方法としてMSP及びCOBRAは、手技の簡便さや精度においてきわめて優れていることが示された。