ABSTRACT 332(5-12)
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CpGメチレーションによるヒトカルポニン遺伝子(h1)プロモーターの転写抑制:骨肉腫培養細胞株を用いた検討:山村倫子、吉川秀樹、竜田正晴、高橋克仁 (大阪成人セ、研2部、整形、研5部

Methylation of CpG dinucleotides within a promoter element of the human calponin gene reduces its transcription in osteo- sarcoma cells: Hisako YAMAMURA1, Hideki YOSHIKAWA2, Masaharu TATSUTA1, Katsuhito TAKAHASHI3 (Dept. Gastroint. Oncol.1, Orthop. Surg.2 and Med.3, Osaka Med. Ctr. Cancer Cardiovasc. Dis.)

【目的、方法】カルポニンは、平滑筋細胞から単離されたアクチン結合蛋白で5'プロモーター領域にメチル化CpG結合蛋白(MeCP2)の結合部位をもつ。我々は既に(1)カルポニン(h1)遺伝子が骨肉腫細胞に発現すること、(2) カルポニン(h1)遺伝子欠失マウスで骨芽細胞の増殖と骨形成の亢進が認められること、(3) 同遺伝子の発現低下が骨肉腫症例の悪性度や予後不良の指標となることを明らかにした。今回、ヒト骨肉腫培養細胞株(HOS, MNNG- HOS, OST, SaOS)を用いて、HapIIメチラーゼを使ったDNAメチレーションによるヒトカルポニン(h1)遺伝子プロモーター(-281〜+137)の発現調節機構を検討した。【結果】h1遺伝子のmRNA発現はHOS>SaOS>MNNG-HOS> OSTの順に高く、OSTでは発現が消失していた。プロモーター活性はOSTを含めて全ての骨肉腫細胞株で認められたが、mRNAの発現と同様、HOS>SaOS> MNNG-HOS> OSTの順に高値であった。HOSとOSTを用いて、プロモーター領域に存在する15個のHapII部位(-CCGG-)をメチル化した後にプロモーターの転写活性を測定すると、HOSで7.3%、OSTで53%の抑制を示した。【結論】骨肉腫細胞において、カルポニン(h1)遺伝子の発現がプロモーター領域のCpGメチレーションによって抑制されることをはじめて明らかにした。また、転写活性の抑制はtansに作用する因子によって調節される可能性を明らかにした。