ABSTRACT 362(7-1)
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KAI1/CD82遺伝子導入ヒト肺癌細胞の転移形成能の解析:篠原 勉1, 西村直樹1, 埴淵昌毅1, 軒原 浩1, 濱田洋文2, 曽根三郎11徳島大・医・3内, 2癌研・化療セ・分子生物治療)

Augmentation of experimental metastases of human lung cancer after Transduction of the KAI1/CD82 cDNA in NK-Cell Depleted SCID Mice.: Tsutomu SHINOHARA1, Naoki NISHIMURA1, Masaki HANIBUCHI1, Hiroshi NOKIHARA1, Hirofumi HAMADA2 and Saburo SONE1 (1Third. Dept. of Int. Med., Tokushima Univ. Sch. of Med., 2Dept. of Mol. Biother. Res., Cancer Chemother. Ctr., Jap. Fdn. Cancer Res.)

【目的】KAI1/CD82は前立腺癌の転移抑制遺伝子として同定されたが、臨床検体の検討から肺癌の予後因子としても注目されている。しかし、肺癌細胞の進展過程におけるKAI1/CD82の関与については不明な点が多い。本研究では、NK細胞除去SCIDマウスにおけるヒト肺癌細胞の転移モデルを用い、KAI1/CD82遺伝子導入の転移形成に与える影響について検討した。
【方法】ヒト小細胞肺癌株SBC-3に発現ベクターを用いKAI1/CD82遺伝子を導入し、蛋白の発現をFACSで確認した。抗マウスIL-2レセプターβ鎖抗体(TM-β1)を用いSCIDマウスのNK細胞を除去した後、腫瘍細胞(1x106)を尾静脈より注入し4週後に各臓器の転移結節数を測定した。また、腫瘍細胞(2x107)の皮下腫瘍形成能についても検討した。
【結果】KAI1/CD82遺伝子導入はSBC-3のin vitroの増殖能、薬剤感受性、CD9, CD44発現、及び皮下移植腫瘍の増殖速度に影響を与えなかったが、転移形成能を著しく亢進させた。また、転移増強効果には臓器特異性を認めなかった。
【考察】KAI1/CD82はtransmembrane 4 superfamily (TM4SF) に属し、TM4SFの他の蛋白と同様にその機能の詳細は不明であるが、細胞増殖の調整や接着に関与していると考えられている。肺癌の予後因子としての報告と今回の実験結果より、KAI1/CD82の発現は肺癌細胞の原発巣よりの離脱を妨げる一方、血中の腫瘍細胞の排除が不十分な場合には、転移臓器への接着を亢進させる可能性が示唆された。