ABSTRACT 365(7-1)
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ヒト前立腺癌細胞株の浸潤能及び移動能に及ぼす各種神経ペプチドの影響 : 永川修1,藤猪英樹2,小笠原勝2,村田純2,布施秀樹1,済木育夫21富山医薬大・医・泌、2富山医薬大・和漢薬研・病態生化)

Effect of neuropeptides on invasion and migration of prostate cancer cells : Osamu NAGAKAWA1, Hideki FUJII2, Masaru OGASAWARA2, Jun MURATA2, Hideki FUSE1, Ikuo SAIKI2 (1Dept. of Urol., Toyama Med.& Pharma. Univ.,2 Dept. Patho-Biochem., Res. Inst. Wakan-Yaku, Toyama Med.& Pharma. Univ.)

前立腺癌において、BombesinがPC-3とLNCapの浸潤能を、VIPがLNCapの浸潤能をそれぞれ亢進させることが報告されているが、その作用機序は不明である。また、前立腺に存在するその他の神経ペプチドの浸潤能への影響についても知られていない。今回我々は、ヒト前立腺癌細胞株を用いてその浸潤能及び移動能に及ぼす各種神経ペプチドの影響について調べたので報告する。11種類の神経ペプチドとchromogranin Aをそれぞれ10-6〜10-10Mの濃度でPC-3とDU-145に作用させフィブロネクチンへの基底膜浸潤能を行った。基底膜浸潤能に影響を与えた神経ペプチドについては、その作用機序の解析のために1.接触移動能、2. フィブロネクチンやラミニンへの接着能、3.ゼラチンザイモグラフィー(MMP)、4.フィブリンザイモグラフィー(u-PA)、5.WST-1を用いた細胞増殖能を行った。chromogranin A、GRP、CGRPが、PC-3とDU-145の浸潤能を亢進させ、逆にSubstance PがPC-3の浸潤能を抑制した。またPTH-rPが、DU-145の浸潤能を亢進させた。その作用機序は主に接触移動能の亢進または抑制によるものであった。またGRP、chromogranin A、PTH-rPは、TSU-pr1の移動能も亢進させた。以上より神経ペプチドの一部が,前立腺癌の浸潤に影響を与える可能性があることが示唆された。