ABSTRACT 366(7-1)
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大腸癌におけるMGC-24の発現の検討:松井隆則,黒澤信幸*,日比健志,関口宏之,藤原道隆,斉藤理,須田賢,秀村和彦,笠井保志,秋山清次,伊藤勝基,高木弘,村松喬*(名大・医・2外,*名大・医・1生化)

Expression of MGC-24 in colorectal cancer:Takanori MATSUI, Nobuyuki KUROSAWA*, Kenji HIBI, Hiroyuki SEKIGUCHI, Michitaka FUJIWARA, Satoshi SAITO, Satoshi SUDA, Kazuhiko HIDEMURA, Yasushi KASAI, Seiji AKIYAMA, Katsuki ITO, Hiroshi TAKAGI, and Takashi MURAMATSU* (Dept.of Surg.II,Nagoya Univ.,*Dept.of Biochem.I,Nagoya Univ.)

【目的】MGC-24はpeanut agglutinin 結合蛋白質としてクローニングされた分泌型のムチン様蛋白質である。近年本分子の膜結合型(CD164)が未分化骨髄stroma cellに特異的に発現していることが明らかとなり、血球分化や癌との関連に興味が持たれている。今回我々は、大腸癌におけるMGC-24の発現量の検討を行い、また、マウスMGC-24(以下mMGC)をクローニングし、その発現量の検討をしたので報告する。【対象と方法】 1.臨床検体での検討;当院で手術された進行大腸癌症例92例の癌組織及び近接する正常粘膜組織よりRNAを抽出した。これをNorthern blot法にてMGC-24の遺伝子発現量を比較検討し、臨床病理学的所見との相関を調べた。2.マウスでの検討;マウス胎生15日脳cDNAライブラリーをヒトMGC-24 cDNA断片をプローブとしてhybridizationにてmMGC のcDNAを得た。この発現量を各臓器にて検討した。【結果】 1.臨床検体での検討;癌組織と正常組織の遺伝子発現量を比較したところ、有意に癌組織での発現量が低下していた。臨床病理学的因子では、ly(+)群でly(-)群に比較し有意に発現量が低下していた。2.マウスでの検討;アミノ酸配列にて58.2%の相同性を認めた。Northern blot解析では各臓器ともほぼ一様な発現量を示した。【結語】 PNA binding proteinは様々な悪性腫瘍でその発現量の上昇が報告されており、その機能のひとつとして遊離癌細胞の接着因子作用が挙げられている。しかし、MGC-24に対する今回の検討では、従来のPNA binding proteinでの結果とは逆に、MGC-24は癌組織での発現が低下していた。また、ly因子での相関を考慮すると、MGC-24は癌細胞が原発巣を離脱し、浸潤していくstepを抑制している可能性が高いと考えられ、今後さらにマウスを用いた病態モデル等を用いて検討を進めていく予定である。