ABSTRACT 371(7-1)
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RT-PCR 法を用いた婦人科癌腹腔洗浄液中の癌細胞の検出とその意義:中西速夫1, 葛谷和夫2, 中西透2, 稲田健一1, 塚本徹哉1, 深見博子1, 立松正衞1(愛知がんセ・1病理1,2婦人科)

Feasibility study of highly sensitive peritoneal lavage cytology by RT-PCR in patients with gynecological malignancies : Hayao NAKANISHI1, Kazuo KUZUYA2, Tooru NAKANISHI2, Ken-ichi INADA1, Tetsuya TSUKAMOTO1, Hiroko FUKAMI1, Masae TATEMATSU1 (1Lab. of Pathol., 2Dept. of Gynecol, Aichi Cancer Center )

【目的】婦人科癌なかでも卵巣癌の予後因子として顕微鏡的腹膜播種は重要である.腹膜再発のリスクを評価する方法として現在腹腔洗浄細胞診が一般的であるが,細胞診陰性例からの再発もあり感度の点で必ずしも十分とは言いがたい。今回,我々はRT-PCRを用いた腹腔洗浄液中癌細胞の高感度な検出法について検討したので報告する。【対象と方法】婦人科癌手術例34例(卵巣癌10例,子宮体癌9例,子宮頚癌15例)において、腹腔洗浄液の遠心により得られた細胞画分よりRNAを抽出し、cDNAを合成後CEA,MUC1を指標とするRT-PCR法を行い特異的なバンドの検出をもって陽性と判定し,通常の洗浄細胞診の結果と比較した。【結果と考察】34例中細胞診では32%が,CEA PCR法では29%が,MUC1 PCR法では47%が陽性であった。一方、陰性対照と考えられる胃早期癌の腹腔洗浄液のMUC1 PCR法の陽性率は8%であった。細胞診陽性例11例は全例MUC1 PCR法でも陽性であったが、CEA PCR法では一致率は低かった.また臓器別では卵巣癌90%,体癌44%,頚癌20%と卵巣癌でのMUC1 PCR法の陽性率が高かった。以上のことからMUC1 PCR法は細胞診に比べて若干鋭敏であり、婦人科癌の有用な予後判定因子になりうる可能性が示唆された。