ABSTRACT 378(7-2)
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抗テネイシン抗体によるヒト癌細胞の増殖と腫瘍成長における影響:平岩典子、吉木 淳、池 郁生、日下部 守昭(理研・実験動物)

Effect of anti-tenascin monoclonal antibodies on the human cancer cell growth in vitro and in vivo : Noriko HIRAIWA, Atsushi YOSHIKI, Fumio IKE, Moriaki KUSAKABE ( Div. Exp. Anim. Res., RIKEN )

[目的]ヒト癌細胞の増殖と腫瘍成長におけるテネイシンの役割を解析するため、抗テネイシン( TN )抗体を培養下および移植下に投与し、ヒト癌細胞増殖および腫瘍成長における抗体の効果を観察した。[方法と結果]培養下でTNを産生しているヒトメラノーマA375細胞と培養下でTNを産生しないが、固形腫瘍になるとTNを産生するようになるヒト扁平上皮癌A431細胞の2種類のヒト癌細胞を用いた。それぞれの細胞の培養下に100μg/mlの抗TN抗体、RCB1( EGF様配列を認識 )またはDEAR2( AD配列を認識 )を添加した。A375細胞に対してRCB1およびDEAR2では細胞増殖が対照に比べて70%程度に増殖を抑制し、一方、RCB1およびDEAR2はA431細胞に対して抑制効果を示さなかった。さらに、それぞれの細胞をヌードマウスの背部皮下に移植し、移植1週間後から毎週1回、1匹あたり250μg/mlの抗体を腹腔内投与した。移植後4週間後に腫瘍重量を測定した。A375腫瘍においてRCB1投与によって非投与群の1/5程度の腫瘍成長にとどまり、DEAR2投与群では半分程度の成長であった。また、A431腫瘍においてRCB1投与群では非投与群の1/6程度の成長にとどまり、DEAR2投与群では半分程度の成長であった。[結論]TNは癌細胞の増殖および腫瘍成長に関与しており、特にTNのEGF様配列が重要であることが示唆された。