ABSTRACT 381(7-2)
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上皮性卵巣腫瘍におけるMMP-7の発現に関する検討:重政和志1,阪田研一郎1,谷本博利2,藤井恒夫3,永井宣隆1,大濱紘三11広島大・医・産婦, 2麻田総合病・産婦,3国立呉病院中国がんセ・産婦)

Expression analysis of MMP-7 in ovarian cancer: Kazushi SHIGEMASA1, Kenichiro SAKATA1, Hirotoshi TANIMOTO2, Tsuneo FUJII3, Nobutaka NAGAI1, Koso OHAMA1(1Dept. of OB/GYN., Hiroshima Univ. Sch. Med., 2Dept. of OB/GYN., Asada General Hosp., 3Dept. of OB/GYN., Kure Natl. Hosp. Chugoku Dis. Cancer Ctr.)

[目的]Matrix Metalloproteaseは癌の浸潤、転移に重要な役割を果たすとされている。MMP-7は諸種の癌腫で過剰発現が報告されているが卵巣腫瘍における意義は明らかではない。我々は卵巣腫瘍におけるMMP-7の発現を検討した。[方法]上皮性卵巣癌細胞株7例、卵巣腫瘍組織29例(悪性25例、境界悪性2例、良性2例)、正常卵巣7例よりmRNAを抽出、cDNAを作成し、β-tubulin遺伝子を内部対照としたQuantitative PCR法およびNorthern blot法により正常卵巣ならびに卵巣腫瘍におけるMMP-7 mRNAの発現を検討した。さらに腫瘍組織症例では免疫組織化学的にMMP-7蛋白の組織局在も検討した。[成績]MMP-7 mRNAの発現は正常卵巣での発現と比較して、卵巣腫瘍組織の良性例、境界悪性例、悪性例1/2期と3/4期で、それぞれ50%、50%、67%、81%に過剰発現が認められ、その発現レベルも臨床的進行例で高かった。特にリンパ節転移例や予後不良例では高率に著明な過剰発現が観察された。卵巣癌細胞株7例中2例でMMP-7 mRNAの過剰発現が認められた。Northern blot法においても卵巣腫瘍におけるMMP-7 mRNAの過剰発現が確認された。免疫染色ではMMP-7蛋白は主に腫瘍細胞に局在していた。[結論]MMP-7は卵巣上皮の腫瘍化の初期より発現し、卵巣癌の進展、転移に関与する可能性が示唆された。