ABSTRACT 384(7-2)
マトリライシンアンチセンスオリゴによる大腸癌細胞の肝転移の抑制:長谷川聡1,2, 越川直彦2, 市川靖史1, 籾山信義1, 石川 孝1, 嶋田 紘1, 宮崎 香2 (1横浜市大・医・外, 2横浜市大・木原研)
Inhibition of liver metastasis of human colon cancer cells by matrilysin antisense oligonucleotide in mouse model:Satoshi HASEGAWA1,2, Naohiko KOSHIKAWA2, Yasushi ICHIKAWA1, Nobuyoshi MOMIYAMA1, Takashi ISHIKAWA1, Hiroshi SHIMADA1, Kaoru MIYAZAKI2 (1Dept. of Surg. Sch of Med., 2Kihara Inst. Biol. Res., Yokohama City Univ.)
Matrix metalloprotease(MMP)の一つであるマトリライシンは 大腸癌に高率に発現し, 大腸癌の進展および転移に強く関与すると考えられる. マトリライシンを発現する大腸癌細胞WiDr を用いた肝転移モデルを確立し,マトリライシンアンチセンスオリゴ(以下AS )の肝転移抑制効果を検討したので報告する. In vitroにおいてASはマトリライシンの発現を抑制したが, 細胞増殖には影響を与えなかった. WiDrをヌードマウスの脾臓内に注入した大腸癌肝転移モデルに対してAS, コントロールオリゴ(以下CL), PBSを移植前日から移植後10日目まで腹腔内投与し, 肝転移の有無を確認した. AS投与群ではCLおよびPBS投与群に比べ肝転移形成が約70%抑制され, その効果は濃度依存的であった. 上記の結果はマトリライシンが肝転移形成に重要な役割を果たすことおよびASが大腸癌肝転移の抑制に有効な薬剤である可能性を示唆する.