ABSTRACT 397(7-4)
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抗VEGFレセプターFlt-1モノクローナル抗体の作製と評価:設楽研也1、伊東幹人1、花井陳雄1、山口幸子2、沢野朝子2、澁谷正史21協和発酵・東京研、2東大・医科研・細胞遺伝)

Establishment and characterization of anti-VEGF receptor Flt-1 monoclonal antibodies: Kenya SHITARA1, Mikito ITO1, Nobuo HANAI1, Sachiko YAMAGUCHI2, Asako SAWANO2, Masabumi SHIBUYA2 (1Tokyo Research Labo., Kyowa Hakko, 2Dep.Genet., Inst.Med.Sci., Univ. Tokyo)

[目的]腫瘍の増殖、転移形成には血管新生が必須であるが、その過程でVascular endothelial growth factor (VEGF)とその受容体Flt-1及びFlk-1/KDRが重要な役割を果たしている。今回、Flt-1のタンパクレベルでの発現、機能、血管新生における役割を検討する目的で、抗ヒトFlt-1モノクローナル抗体(mAb)の作製を試みた。
[結果]バキュロウイルス/昆虫細胞系により発現した組換え可溶性ヒトFlt-1をマウス、ラットに免疫し、計17種のmAbを確立した。これらの抗体のエピトープは、1番目、2番目、4〜7番目のIgドメイン上に分類された。これらのmAbは蛍光抗体法によりFlt-1発現細胞(Flt-1/NIH3T3, HUVEC)を検出可能であり、HUVECはVEGF刺激により細胞表面上のFlt-1の発現が上昇することが明らかとなった。また、mAbを用いるサンドイッチELISA法により可溶性Flt-1の検出が可能となった。3種のmAbはVEGFの可溶性Flt-1への結合を特異的に阻害し、可溶性KDRとの結合を阻害しなかった。さらに、Flt-1/NIH3T3細胞へのVEGFの結合阻害活性、Flt-1自己リン酸化阻害活性を示すことから中和抗体であることが確認された。
[結論]今回確立に成功した抗ヒトFlt-1 mAbは、不明の点が多いFlt-1の機能解析のツール、診断薬として有用である可能性が示された。