ABSTRACT 403(7-4)
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軟骨由来成長因子Hcs24/CTGFの組換え蛋白質の血管新生作用:志茂 剛1, 2, 中西 徹1, 松村智弘2, 滝川正春1(岡山大・歯・1生化, 22口外)

Induction of In Vitro and In Ovo Angiogenesis by Recombinant Chondrocyte-derived Growth Factor Hcs24/CTGF : Tsuyoshi SHIMO1, 2, Tohru NAKANISHI1, Tomohiro MATSUMURA2, Masaharu TAKIGAWA1 (Depts. of 1Biochem. and 2Oral and Maxillofac. Surg. II, Okayama Univ. Dental School)

[目的] 我々は,先にヒト軟骨肉腫由来軟骨細胞株HCS-2/8からdifferential display法によって単離した軟骨特異的遺伝子hcs24のアンチセンスDNAが,血管内皮細胞の増殖・遊走を阻害することを明らかとし,この遺伝子によってコードされる蛋白質である結合組織増殖因子(CTGF)が新たな血管新生因子である可能性を示唆した。今回,この点をさらに詳細に解明するため,組換えCTGF蛋白質(rCTGF)を用いて,それらのin vitro ならびにin ovoにおける作用を調べた。
[方法] rCTGFはCTGF cDNAを挿入した発現ベクターをHeLa細胞に導入して生産し,抗CTGF抗体アフィニティーカラムにて精製した。ウシ大動脈血管内皮(BAE)細胞の増殖は細胞数を算定することにより,又,遊走能はBoyden chamberの変法にて調べた。細胞接着はrCTGFをコートしたプレートへの接着細胞数により判定した。血管誘導作用は孵卵10日目の受精卵を用いて調べた。
[結果] BAE細胞培養系にrCTGFを添加すると,濃度依存的な増殖促進効果がみられ,その効果は50 ng/mlで最大となった。又,rCTGFはBAE細胞の遊走を促進した。rCTGFには細胞接着作用もみられ,この作用は抗CTGF抗体で阻害された。コンフルエントに達したBAE単層培養系に50 ng/mlのrCTGFを添加すると管腔形成が誘導され,その作用はbFGFやVEGFより強力であった。さらに,1μg/卵のrCTGFを鶏卵漿尿膜上に投与すると5日後に著明な血管新生がみられた。
[結論] 以上の結果から,本因子は血管新生を多段階で促進する極めて重要な血管新生因子であると考えられる。(会員外協同研究者)玉谷卓也,手塚克成