ABSTRACT 404(7-4)
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インターロイキン4(IL-4)の血管内皮応答と血管新生の機序:福士純一1、西江昭弘1、森崎隆2、小野真弓1、桑野信彦11九州大・医・生化, 2九州大・医・外)

The effect of IL-4 on angiogenesis: Junichi FUKUSHI1, Akihiro NISHIE1, Takashi MORISAKI2, Mayumi ONO1, Michihiko KUWANO1 (1Dept. of Biochem., Kyushu Univ. Sch. Med., 2Dept. of Surg., Kyushu Univ. Sch. Med.)

(目的)固形腫瘍や慢性関節リウマチ、増殖性糖尿病性網膜症といった疾患に血管新生は深く関与している。血管新生は促進作用や抑制作用を示す多くのサイトカインや増殖因子によって制御されている。今回我々は肥満細胞やヘルパー2型T細胞由来のサイトカインであるIL-4が血管新生を誘導するか否かをin vitro及びin vivoの血管新生モデルで検討した。
(方法)ウシ大動脈血管内皮細胞をタイプIコラーゲンゲル上にて培養し、形成される管腔様構造の長さを測定し、IL-4による変化を検討した。また血管内皮細胞におけるmRNA発現変化をノーザンブロットで検討した。in vivoではラット角膜における血管新生効果について検討した。
(結果と考察)(1)IL-4は50-100U/mlの濃度でウシ大動脈血管内皮細胞の管腔形成を促進し、その効果はIL-4受容体ブロッキング抗体によって阻害された。(2)ヒト微小血管内皮細胞およびウシ大動脈血管内皮細胞におけるウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーターのmRNAの発現の上昇を認めた。(3)IL-8、VEGFといった血管新生促進因子のmRNAの上昇は認めなかった。(4)ラット角膜においては250ngのラットIL-4によって血管新生が誘導された。以上の結果からIL-4による血管新生の誘導はIL-4受容体を介した直接的な作用であり、uPA以外の要素も関与すると考えられる。さらに如何なるシグナルが関与しているかについても言及したい。