ABSTRACT 409(7-5)
anti-sense CD44遺伝子導入ヒト肺癌細胞株における in vitro 浸潤能に関する検討:中村祐之1、石井源一郎1、岸宏久1、東守洋1、栗山喬之2、北川元生1、張ヶ谷健一1(1千葉大・医・一病理、2千葉大・医・呼内)
Antisense of adhesion molecule, CD44 H, inhibits the invasiveness of human lung carcinoma cell line in vitro.:Sukeyuki NAKAMURA1, Genichiro ISHII1, Morihiro HIGASHI1, Hirohisa KISHI1 ,Takayuki KURIYAMA2, Motoo KITAGAWA1 and Kenichi HARIGAYA1(11st. Dept.Pathol. 2Dept. of Chest Med. Chiba Univ.Sch. Med.)
【目的】CD44分子は膜貫通性受容体型糖蛋白であり、alternative splicing により種々の isoform が形成される。近年、これら isoform の発現と癌の浸潤転移との関連が報告されている。我々は、CD44H陽性ヒト肺癌細胞株に標準型anti-senseCD44H遺伝子を導入した細胞株を用い、 CD44H分子の腫瘍浸潤における機能を in vitro で検討した。【材料・方法】1)CD44H 陽性ヒト肺小細胞癌株 NCI-H69 へ、anti-sense CD44H 遺伝子、およびベクターのみを導入した遺伝子導入株(各々69 Has、69 pCI)を作成した。2)各遺伝子導入細胞株に関して、in vitroの増殖能、及び固相化ヒアルロン酸(HA)に対する結合能を検討した。3)マトリゲルをコートした Transwell chamber を用いた chemoinvasion assay を行い、浸潤能を検討した。【結果および考案】69 Has 細胞では 1)CD44H の発現は蛋白レベルで殆ど消失した。また、2)固相化HAへの結合能は69 pCI 細胞に比し96% 減少した。3)in vitro における増殖能は各遺伝子導入株間では差は認めなかった。4)chemoinvasion assay では69 pCI 細胞に比べ、69 Has 細胞で浸潤細胞数が60%低下していた。また69pCIの浸潤能は抗CD44モノクローナル抗体BRIC235にて61%阻害された。以上の結果から、CD44H 分子はヒト肺癌細胞株においてヒアルロン酸との結合を介してその運動能を亢進させ、腫瘍浸潤に必要な役割を果たしていることが示唆された。また,現在in vivoでも検討を行っている。