ABSTRACT 410(7-5)
 一般演題一覧 トップ 


ヌクレオシド二リン酸キナーゼ (NDPK/nm23) 遺伝子導入によりヒト扁平上皮癌細胞株は分化誘導される: 石川 直, 高木洋子, 宮崎英隆1,4, 木村成道,平山廉三, 天笠光雄都老人研・遺伝子情報, 免疫病理, 埼玉医大・2外, 東京医歯大・歯・1口外)

Transfection of nucleoside diphosphate kinase (NDPK/nm23) gene induces differentiation of a human squamous cell carcinoma cell line. : Naoshi ISHIKAWA, Yohko TAKAGI, Hidetaka MIYAZAKI1,4 Narimichi KIMURA, Renzo HIRAYAMA, and Teruo AMAGASA (Dept. of Gene regulation & Protein function., Immuno. Pathol., Tokyo Metro. Inst. of Gerontology, Dept. of Surgery, Saitama Med. Sch., Dept. of Oral Maxillo. Surgery, Tokyo Med. Dent. Univ.)

私共は 先にヒト 癌細胞株を用い、nm23-H2 (ラットNDPK α 相同)cDNA導入株において転移能が低下することを報告した。更なる解析の結果、ヌードマウス皮下に移植された この変異株は親株と比較し明らかな分化傾向を示したので報告する。
【材料と方法】ヒト口腔原発の扁平上皮癌由来の高転移性細胞株 (LMF4) に nm23 (H1 or H2) cDNAを導入した変異株を樹立し、ヌードマウス(ICR nu/nu)を用いた転移実験系(尾静脈-肺)で転移能変動を解析した。またヌードマウス皮下に親株及び遺伝子導入株を移植・増殖させた後、採取し急速凍結保存した。凍結薄切切片を用いた免疫組織染色法等で解析した。
【結果と考察】転移能が低下したH2 cDNA導入株は、転移能が変化しなかったH1 cDNA導入株や親株と比べ、腫瘍径は小さく、明らかな層分化傾向を示した。ラミニンリセプター分布解析から、高転移株に特徴的な周囲への浸潤部で細胞極性が乱れること、H2 cDNA導入株では細胞極性も正常上皮組織像に近づくことが判明した。今後、転移巣での形態解析等も加え、NDPK遺伝子の癌細胞分化誘導能と浸潤・転移抑制の分子機構を解明したい。