ABSTRACT 411(7-5)
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既生着腫瘍からの転移形成に対するEC-SOD遺伝子用いた治療:
田中真樹1、古川勝久1、西堀佳樹1、中村公則1、栗林景晶1、萩原誠也1、濱田洋文2、新津洋司郎1 (1札幌医大・医・4内、2癌研・癌化療セ・分子生物治療)

A novel gene therapy using EC-SOD gene against spontaneous metastasis of 3LL cells:Maki TANAKA1,KatsuhisaKOGAWA1,Yoshiki NISHIHORI1,Kiminori NAKAMURA1,Kageaki KURIBAYASHI1, Seiya HAGIWARA1, Hirofumi HAMADA2, Yoshiro NIITSU1 (14th Dept. of Int. Med. Sapporo Med. Univ., 2Dept. of Mol. Biother. Res., Cancer Chemother. Ctr., Jpn. Fdn. Cancer Res.)

[目的]転移抑制を目的とした遺伝子治療の開発はなされていない。我々は昨年の本学会にて、分泌型extracellular SOD(EC-SOD)遺伝子をtransfectした自家線維芽細胞を移植することにより、 マウス線維肉腫Meth A細胞の実験的肺転移を予防しうることを報告した。しかし、実際の臨床での転移形成は原発巣の増殖、進展の後に起こる事象である。そこで今回、腫瘍形成を確認した後、EC-SOD導入線維芽細胞を移植し転移を抑制しうるか否かを検討したので報告する。[方法および結果]ヒトEC-SODcDNAをMFGレトロウイルスベクターの改良型pRx-ZpNに挿入し、BDF1マウス皮膚より培養した線維芽細胞へ導入した。培養上清中および血清中のSOD活性はKO2法により確認した。BDF1マウスのFoot padにLewis lung carcinoma(3LL)を8x105個移植し、腫瘍(φ3-4 mm) を確認後1x107個のBDF1-SOD細胞を3,10日後に側腹部皮下へ移植した。腫瘍移植後10目にamputationを施行し28日目にマウス肺表面の転移結節数を計測したところ、対照群(41.4±14.3)に対しBDF1-SOD移植群 の転移数は(21.0±8.3)と有意に抑制された。[考案]このストラテジーは基本的にはすべての癌種への応用が期待できる。SODは副作用が少なく、抗癌剤との併用も可能であることから、癌の転移抑制 の新しいアプローチになりうると考えられた。