ABSTRACT 412(7-5)
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骨由来血管内皮細胞におけるIL-1α依存的なプロスタグランジンE2 (PGE2)産生の骨吸収型骨転移への関与:中川 匠1, 2,藤田直也1,大原智子3,黒川高秀2,中村耕三2,鶴尾 隆1, 31東大・分生研,2東大・整形,3癌研・癌化療セ)

Production of Prostaglandin E2 by IL-1α in bone-derived endothelial cells and its role in the formation of osteolytic bone metastasis: Takumi NAKAGAWA1, 2,Naoya FUJITA1,Tomoko OHHARA3,Takahide KUROKAWA2,Kouzo NAKAMURA2,Takashi TSURUO1, 3(1Inst. Mol. Cell. Biosci.,Univ. Tokyo,2Dept. of Orthopedics,Univ. Tokyo,3Cancer Chemother. Ctr.,Jpn. Fdn. Cancer Res.)

 がんの骨転移部位における組織学的検討から、がん細胞の近傍には血管内皮細胞が増生して存在することが報告されている。IL-1αは多くのがん細胞から産生されるサイトカインで、実験的骨転移を促進させる作用が知られている。今回骨転移形成における血管内皮細胞の関与を検討するため、BALB/cマウス大腿骨より樹立した骨由来血管内皮細胞(BDEC)を用いて、IL-1αの作用を検討した。樹立したBDECはIL-1レセプターを発現しており、形態学的にもIL-1α添加により線維芽細胞様に変化しIL-1α対する反応性を示した。また破骨細胞の形成を促進する液性因子PGE2の産生に関わるCOX-1、COX-2の発現量の変化を検討したところ、BDECではIL-1α処理によりCOX-2の選択的誘導がmRNA及び蛋白レベルで観察された。同時にIL-1αによりCOX-2のPromoter活性が上昇し、さらにBDECの培養上清中に産生されるPGE2の量もIL-1α濃度依存的に上昇していることが確認された。以上の結果よりBDECの骨転移部位の拡大への関与と骨転移病変の予防・治療のターゲットとしての可能性が示唆される。