ABSTRACT 417(7-5)
 一般演題一覧 トップ 


マウスColon26-L5結腸癌細胞のHGFへの応答性に及ぼす神経ペプチドVIPの抑制効果:小笠原 勝、村田 純、上谷 幸男、済木 育夫 (富山医薬大・和漢薬研・病態生化)

Inhibitory effect of VIP on response of murine Colon26-L5 carcinoma to HGF: Masaru OGASAWARA, Jun MURATA, Yukio KAMITANI, Ikuo SAIKI (Dept. of Patho-Biochem., Res. Inst. Wakan-Yaku, Toyama Med. & Pharm. Univ.)

【目的】我々はこれまでに、神経ぺプチドVIP(Vasoactive Intestinal Polyeptide)がマウスColon26-L5結腸癌細胞(高肝転移株)の基底膜浸潤、特に運動性を強く抑制することを見い出してきた。今回、L5細胞の実験的肝転移におけるVIPの影響をHGFの関与から検討した。
【方法、結果】L5細胞をマウス門脈内に接種後3日目より、VIP(2ng)を連日11日間尾静脈内に投与したところ、14日目における肝転移結節数は約45%減少した。一方、VIPのレセプターアンタゴニスト(10ng)を同一条件で投与した結果、その結節数は約2倍に増加した。このモデルにおいて、肝内のHGF量をELISAにより経日的に測定した結果、腫瘍接種後9日目から増加し、18日目では正常値の4倍以上に達した。組織像より、HGFは腫瘍塊の浸潤端にその局在が認められた。HGFはin vitroにおいてL5細胞の運動能を促進したが、VIP(10-6M)はこの亢進された運動能を阻害した。RT-PCR及びWestern blotより、VIP(10-6M)はL5細胞におけるc-met(HGF receptor)のmRNA及びタンパクの発現をそれぞれ約50%あるいは約35%抑制した。
【考察】VIPはColon26-L5細胞による実験的肝転移を抑制し、その機序に一つとして、c-metの発現を抑制することで同細胞のHGFへの応答性を阻害している可能性が示唆された。