ABSTRACT 419(7-5)
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肝疾患用剤Malotilateによるラット癌細胞のin vitro浸潤性の抑制:浜田淳一、細川眞澄男、永易裕樹、柴田敏之、小中重夫、守内哲也北大・医・癌研細胞制御、癌研病理、北海道医療大・歯・口腔外科、日本農薬)

Inhibitory effects of Malotilate on in vitro invasion of endothelium by rat tumor cells: Jun-ichi HAMADA1, Masuo HOSOKAWA2, Hiroki NAGAYASU3, Toshiyuki SHIBATA3, Shigeo KONAKA4, Tetsuya MORIUCHI1 (1Div. of Cell Biol., 2Pathol, Cancer Inst. Hokkaido Univ. Sch. of Med., 3Dept. of Oral Surg., Health Sci. Univ. of Hokkaido, 4Nihon Nohyaku Co.)

【目的】我々は、肝疾患用剤として用いられているMalotilate(MT)が、ラット癌細胞の肺転移を抑制することを報告してきた。今回、MTによる癌細胞の血管内皮および内皮下基底膜への浸潤抑制作用についてin vitroで検討した。
【方法・結果】血管内皮および内皮下基底膜に対する癌細胞の浸潤性は、それぞれ単層培養されたラット肺由来血管内皮細胞(RLE)および再構成基底膜であるマトリゲルを用いて測定した。ラット乳癌細胞c-SST-2あるいは直腸由来癌細胞SPRT-1を予めMT処理(1, 10, 100 ng/ml)した場合、各癌細胞の浸潤性には変化がみられなかった。一方、予めRLEをMT処理した場合には、各癌細胞の浸潤性は有意に抑制された(10 ng/ml以上の処理濃度)。無血清状態あるいは各癌細胞との混合培養によって上昇する単層培養された。RLEの物質透過性(分子量約60kDaのFITC-dextran)は、RLEを予めMT処理(10 ng/ml以上)することによって抑えられた。また、MTは、各癌細胞のRLEへの接着性、癌細胞およびRLEの増殖性ならびにゼラチナーゼの産生などには影響を及ぼさなかった。
【考察】以上より、MTは癌細胞よりむしろ、血管内皮細胞に作用し、内皮細胞間の結合性を強固にし、癌細胞浸潤に対する防御能を高めると考えられた。