ABSTRACT 422(8-1)
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HLA-A31拘束性胃癌抗原ペプチドの発現と癌免疫治療:佐原弘益1・2、近藤裕亮1、鍋田裕樹1、鈴木一弘1、広橋良彦1、平井到1、鳥越俊彦1、山田尚之3、平山和雄3、鈴木学3、羽室淳爾3、高橋延昭1・2、佐藤昇志1、菊地浩吉1・4、(札幌医大・医・1第一病理、2臨海医研. 3味の素・中央研. 4札幌IDL)

Expression of HLA-A31 restricted gastric tumor antigenic peptide and tumor immunotherapy: Hiroeki SAHARA1,2, Hiroaki KONDO1, Yuhki NABETA1, Kazuhiro SUZUKI1, Yoshihiko HIROHASHI1, Itaru HIRAI1, Toshihiko TORIGOE1, Naoyuki YAMADA3, Kazuo HIRAYAMA3, Manabu SUZUKI3, Junji HAMURO3, Nobuaki TAKAHASHI1,2, Noriyuki SATO1, Kokichi KIKUCHI1,4 (1Dept. of. Pathology, 2Marine Biomed. Inst.,Sapporo Med. Univ. Sch. Med., 3 Cen. Res. Lab. Ajinomoto Co.4Sapporo IDL)

メラノーマに続き上皮性腫瘍における癌免疫治療の確立が望まれている.しかしながら上皮性の腫瘍においては抗原ペプチドの解析が困難であるとの理由から,今だ結果を得るまでの臨床応用は行われていない.我々は日本人に頻度の高い胃癌の癌免疫療法の確立を目指して、胃印環細胞株(HST-2)に対する自家癌細胞傷害活性T細胞(TcHST-2)を樹立し、HST-2からHLA-A31拘束性の抗原ペプチド(F4.2)を同定し,その障害活性を報告してきた。本研究ではF4.2のHLA-A31におけるアグレトープそしてTcHST-2のエピトープを検討した.また,HLA-A31遺伝子を導入した同種胃癌おいてもF4.2と思われる抗原ペプチドの存在を示唆するデータがmass spectrometryの解析から得られた.これはF4.2が共通の癌抗原ペプチドとして存在している可能性を示すもので,現在,膵癌,口腔癌細胞においても現在その解析を進めている.さらにはHLA-A31陽性の胃癌患者の末梢血からF4.2を特異的に認識するCD8(+) killer T cell が誘導できることも明らかとした.これらの事実から,F4.2は抗原ペプチドワクチンとしてHLA-A31陽性の胃癌において有効である可能性が強く示唆された.さらに現在,F4.2蛋白質の分子クローニングを行っている.