ABSTRACT 425(8-1)
ヒト大腸硫酸化ムチンを免疫原に作製されたモノクローナル抗体91.9Hによる硫酸化ルイスA抗原の認識:築地仁美1、池原譲2、成松久2、入村達郎1(1東大院・薬、2創価大・生命研)
Recognition of sulfo-Lewisa antigen by mAb 91.9H prepared against human colonic sulfomucin : Hitomi TSUIJI1, Yuzuru IKEHARA2, Hisashi NARIMATSU2, Tatsuro IRIMURA1 (1Grad. Sch. Pharm. Sci., Univ. Tokyo, 2Inst. Life Sci. Soka Univ.)
【目的】ヒト大腸組織の粗精製硫酸化ムチンを免疫原に作製されたモノクローナル抗体91.9Hは、その発現レベルが癌の悪性度と逆相関することが知られている。今回は91.9H抗体の認識するエピトープを決定した。【方法および結果】表面プラスモン共鳴(SPR)を利用したバイオセンサー、およびELISA法を用いて、ポリアクリルアミドで重合されたオリゴ糖のポリマーと91.9H抗体の結合性を測定した。91.9H抗体は、硫酸化ルイスA抗原 [SO4-3Galβ1-3 (Fuca1-4) GlcNAc] に強く結合し硫酸化ルイスX抗原には結合しなかった。ルイスA、ルイスX、それらのシアル酸化体にも結合しなかった。硫酸化ルイスAに対する解離定数KDは、2〜3 x 10-8 (M)であった。フコース残基を過ヨウ素酸酸化により壊すことで、硫酸化ルイスAと91.9H抗体の結合性は減少した。硫酸化ルイスAのモノマーよりポリマーの方が、オリゴ糖1モルあたりの91.9H抗体の結合性が高く、この抗体は硫酸化ルイスAのクラスターをより強く認識した。組織学的研究により、ルイス陽性(Le/-)の個体の大腸上皮のゴブレット細胞に、91.9H抗体の強い染色像が得られた。以上より、91.9H抗体が硫酸化ルイスA抗原を認識していることが示された。