ABSTRACT 427(8-1)
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マウス白血病発症阻止効果をもつフレンドウイルスgag遺伝子産物上の抗原ペプチド:岩波礼将1,2, 丹羽淳子1, 上西博英2, 山岸秀夫3, 宮澤正顕1 (1近畿大・医・免疫, 2京大・理・生物物理, 3日本体質研究会)

Analysis of gag-encoded antigenic peptides that prevent Friend virus-induced erythroleukemia: Norimasa IWANAMI1,2, Atsuko NIWA1, Hirohide UENISHI2, Hideo YAMAGISHI3, Masaaki MIYAZAWA1 (1Dept. Immunol., Kinki Univ. School Med., 2Dept. Biophys., Kyoto Univ. Faculty Sci., 3Health Res. Found.)

【目的】我々は以前、フレンド白血病ウイルスgag遺伝子産物上に、一旦発症した脾腫のゆっくりとした退縮と白血病死に対する抵抗性を誘導するエピトープがあることを報告し、昨年それらエピトープを含む30残基の配列2つをMA蛋白質(p15)内に特定した。今回、合成ペプチドを用いてエピトープ配列のさらなる解析を試みると共に、これらペプチドの作用機序を調べた。
【方法】15〜20残基の合成ペプチド25μgを、完全フロイントアジュバントとともに(BALB/c×C57BL/6)F1マウスに皮内投与し免疫した。4週後フレンドウイルスを接種し、脾腫の発症と白血病死の経過を観察した。また、ウイルス接種14日後に眼窩静脈叢より採血し、血清中和抗体価を測定した。
【結果と考察】N-端側のエピトープに関しては15残基のペプチドでも効果を示し、コアは10残基に限定された。C-端側についても20-merでエピトープ解析が進行中であるが、興味深いことに、C-端側の抗白血病エピトープに隣接する15-merの投与は強い免疫抑制効果を示し、白血病死を促進した。また、ペプチド免疫の効果があった群でのみウイルス中和抗体のIgGへのクラススイッチが見られ、CD4T細胞の関与が示唆された。現在、ペプチド免疫マウスT細胞の抗原特異的増殖能を調べるとともに、発症阻止に働くin vivoのエフェクターを同定中である。