ABSTRACT 428(8-1)
紫外線誘発マウス線維肉腫の腫瘍拒絶抗原の解析: 戸田 雅昭, 金 義宣, 栗林景容(三重大・医・生体防御)
Tumor rejection antigens of UV-induced mouse fibrosarcoma cells: Masaaki TODA, Gisen KIM, Kagemasa KURIBAYASHI (Dept. of Bioregulation, Mie Univ. Sch. Med.)
紫外線誘発マウス繊維芽細胞肉腫より樹立した細胞株♂1dは、同系マウスに接種すると、速やかに拒絶される。このときに生じる抗♂1d CTLはH-2 Kdに強く拘束される。また、抗♂1dCTLクローン(10T7)との共培養により種々の抗原欠損株が得られている。これらの抗原欠損株も同系マウスに接種するとCTL活性を誘導することから、親株(♂1d)は紫外線照射、腫瘍化の過程で多くの変異をとりこみ、CTL反応エピトープを複数有していると考えられる。実際、欠損株で誘導されたCTLは多くの場合♂1dに対して細胞傷害活性を示した。今回、われわれは恒常的にH-2 Kd 遺伝子を発現するCOS細胞を確立し(COS-Kd)、♂1dのcDNAライブラリーを発現させ、10 T7のIFN-gamma産生能を指標として拒絶抗原の検索を行った。その結果、約10万のクローンから10T7と反応し、MAPKKと相同性を有するクローンが1個得られた。現在、その性状及び抗原欠損株における変化について解析を行っている。また、欠損株の一つであるR95Cに対するCTLクローンG4はH-2 Ld拘束性を示し、親株である♂1dに対しても細胞傷害活性を示した。この腫瘍抗原についても現在、同定を進めている。