ABSTRACT 430(8-1)
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合成ペプチドを用いた MUC-1 特異的 CTL の誘導:澤井 聡、紺谷 桂一、花岡 淳、手塚則明、一瀬増太郎、小西孝明、井上修平、藤野昇三(滋賀医大・2外)

Induction of MUC-1 specific CTL using synthetic peptide:Satoru SAWAI, Keiichi KONTANI, Jun HANAOKA, Noriaki TEZUKA, Masutaro ICHINOSE, Takaaki KONISHI, Shuhei INOUE, Shozo FUJINO ( 2nd Dept. of Surg., Shiga Univ. of Med. Sci. )

[目的]重要な腫瘍抗原のひとつであるMUC-1分子は、コア蛋白上に20アミノ酸の繰り返し配列を持つのが特徴であり、抗原エピトープはその中のAPDTRPであるとされている。我々は、このエピトープを2回含む30アミノ酸のペプチドを合成しCTLの誘導を試みた。
[方法と結果]ヒトPBMCをペプチドで刺激した後、IL-2・IL-7存在下に培養しCTLを誘導した。誘導CTLはMUC-1発現株に対して強い細胞傷害を示し、それはK562添加で抑制されなかった。MUC-1欠損株に対して無反応であったがその遺伝子導入株に対して強い細胞傷害を示した。抗原提示細胞を確認するため、ペプチドで刺激したPBMCをプラスティックプレート接着細胞と非接着細胞に分けFACS解析を行ったところ、接着細胞にのみMUC-1陽性細胞が存在した。PBMCより分化誘導した樹状細胞を、ペプチド刺激後酸処理によって細胞表面上のペプチドを溶出した。Dot Blot法により、MUC-1ペプチド刺激樹状細胞からの溶出したペプチドのみがMUC-1陽性で、他は陰性であった。
[結論]MUC-1ペプチドを用いた簡便な方法でPBMCよりMUC-1特異的CTLの誘導が可能であった。その抗原提示は樹状細胞を含む接着細胞が行っていることが示唆された。