ABSTRACT 459(8-4)
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腫瘍所属リンパ節においてプライミングされた腫瘍特異的エフェクターT細胞とサプレッサーT細胞の分離と機能についての検討: 各務博12, 伊藤一寿1, 田中洋史1, 吉澤弘久1, 鈴木栄一1, 荒川正昭1, Suyu Shu2 (1新潟大学・医・二内, 2The Cleveland Clinic Foundation)

Concomitant sensitization of specific effector and suppressor T cells in the tumor-draining lymph nodes.: Hiroshi KAGAMU12, Kazuhisa ITO1, Hiroshi TANAKA1, Hirohisa YOSHIZAWA1, Eiichi SUZUKI1, Masaaki ARAKAWA1, Suyu SHU2 (1Dept. Med. (II), Niigata Univ. , 2The Cleveland Clinic Foundation)

In vivoで治療効果を持つ腫瘍特異的T細胞が腫瘍所属リンパ節細胞を抗CD3抗体で刺激することによって得られることを報告してきた。最近,私たちは化学発癌腫瘍であるマウス線維肉腫,MCA205を使用したモデルで腫瘍所属リンパ節細胞内に,リンパ球のホーミングレセプターであるL-セレクチンの表出をdown regulateしたT細胞 (L-sel(-))が約20%存在すること,腫瘍特異的エフェクターT細胞が例外なくこのL-sel(-)に属することを報告した。経静脈的に移入された2x106の活性化されたL-sel(-)は脳内にestablishされた腫瘍を完全に消失せしめた。またこの抗腫瘍効果は腫瘍特異的なものであることが確認された。一方,L-セレクチンを高発現しているT細胞(L-sel(+))は,in vitroで活性化を受けたにも関わらず全く治療効果を示さなかった。更にL-sel(+)にはL-sel(-)の抗腫瘍活性を中和する腫瘍特異的サプレッサー細胞が存在していることが明らかとなった。L-sel(+)を移入することにより脳内の腫瘍を治癒させるのに十分なL-sel(-)の抗腫瘍効果は全く消失した。マグネティックビーズを使った細胞分離の結果,サプレッサー機能を持つ細胞はCD4+であった。L-sel(-)は腫瘍抗原刺激によりIL-2, IL-4, IL-10, IFN-γ, TNF-α, GM-CSFといった多彩なサイトカインを産生した。一方L-sel(+)は主としてTGF-βを産生した。サプレッサー細胞を除くことにより非常に強力な抗腫瘍活性を持ったエフェクター細胞を誘導できることが明らかとなった。