ABSTRACT 461(8-4)
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Self primingによるサイトカイン産生と抗腫瘍エフェクター細胞の誘導:マウス系統差の検討:佐藤まりも1,2、岩壁賢治1,3、大見 寧1、垣生園子3、木村修一2、西村孝司1, 31東海大・医・遺伝子工学、2昭和女子大、生活機構、3東海大・医・免疫)

Induction of cytokine and antitumor effecter cells by self priming : Marimo SATO1,2, Kenji IWAKABE1,3,Yasushi OHMI1, Sonoko HABU3, Shuichi KIMURA2, Takashi NISHIMURA1,3 (1Dept. Genetic Engineering, Tokai Univ. Sch. Med., 2Course of Sci. for Living Sys., Showa Women's Univ.,3Dept. Immunol., Tokai Univ. Sch. Med.)

[目的] 自己反応性T細胞が胸腺内の負の選別を回避して、末梢にも存在することは自己免疫病の発症機構からも証明されている。最近、マウスTh1/Th2バランスには遺伝的支配があることが示されており、その背景には自己応答性免疫の遺伝的支配が関与している可能性も示唆されている。そこで、Th1タイプのC57BL/6マウスとTh2タイプのBALB/cマウスを用いて, 高密度細胞培養法を用いたself primingに関する研究を行い、self primingによるサイトカイン産生能、および抗腫瘍エフェクター誘導にはマウス系統差があることを証明したので報告する。
[方法および結果] マウス脾細胞を12穴プレートを用いて高密度(2x107/well)で細胞培養すると、通常の条件(5x106/well)では観察されない細胞増殖およびサイトカインの産生が認められた。さらに、WEHI164をTNF-α依存的に傷害するNC細胞の活性化も証明された。本現象はFCSをマウス正常血清に置換しても観察できることより、self primingの良いin vitro実験系になると考えられた。そこで、 Th1タイプのC57BL/6マウスおよびTh2タイプのBALB/cマウス脾細胞を用いて、高密度細胞培養法によってself primingを行い、その際のサイトカインおよび抗腫瘍細胞の誘導に対する影響を検討した。その結果、BALB/cマウス脾細胞は、C57BL/6マウス脾細胞に比して、より高い細胞増殖反応を示した。また、In vitro self primingによって誘導されるIFN-γ、IL-3およびIL-3依存的に誘導されるNC細胞の誘導全てのパラメーターにおいてBALB/cマウスがC57BL/6マウスよりも勝っていた。従って、Th2タイプのマウスにはTh1マウスよりも、より強いself primingを起こす未知なる因子が存在する可能性が示唆された。現在、in vivoにおけるself primingの感受性の違いについてさらに検討中である。