ABSTRACT 462(8-4)
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樹状細胞と癌細胞の細胞融合による特異的癌免疫の誘導:本間 定1,2,大野典也2,戸田剛太郎1,Jianlin Gong3, Donald Kufe31慈恵会医大内,2慈恵会医大医学研,3Dana-Farber Cancer Inst.)

Induction of specific antitumor immunity by fusions of dendritic and carcinoma cells: Sadamu HOMMA1,2, Tsuneya OHNO2,Gotaro TODA1,Jianlin GONG3,Donald KUFE3 (1Dept. of Int. Med.,Jikei Univ.Sch.Med.,2Inst.of DNA Med.,Jikei Univ.Sch.Med.,3Dana-Farber Cancer Inst.)

(目的)強力な抗原提示細胞である樹状細胞(以下DC)と癌細胞の融合細胞(以下 FC)を作製し、FCで生体を免疫することにより癌細胞の有する抗原性を有効にTリンパ球に提示し、特異的癌免疫を誘導することを試みた。
(方法)DC はマウス骨髄細胞をGM-CSF, IL-4 存在下に培養し採取した。DCと癌細胞(BNL肝癌など)との細胞融合は50% polyethyleneglycolを用いた。FC の性状の解析は主にFACSを用いて行った。PEG処理 1-2 日後のFC(1-5 x 10 5/mouse) をマウスの皮下、静脈内に投与し、癌細胞に対する予防効果、治療効果を検討した。
(結果)得られたDCは機能的、形態的に成熟したDCの特徴を示した。DCと癌細胞の表面マーカーのdouble positiveな細胞の出現頻度より、融合効率は約30%前後と考えられた。FC をマウスに投与しても造腫瘍性を示さなかった。FC で免疫したマウスは癌細胞の生着を拒絶または強く抑制した。また、癌細胞移植 3-5 日後にFC を投与すると、腫瘍発育の抑制、生存期間の延長、約30%のcureが認められた。Cureしたマウスのsplenic cell より特異的なCTLの誘導が認められ、また、このマウスは異なる癌細胞の移植を拒絶しなかった。
(結語)DCと癌細胞の融合細胞でマウスを免疫すると、癌細胞に対し特異的な予防効果、治療効果が認められた。