ABSTRACT 465(8-4)
リンパ節樹状細胞の分化と成熟
高橋聖之,柳井広之,林 一彦,吉野 正,赤木忠厚
岡山大・医・第二病理
The differentiation and maturation of dendritic cells in the lymph node: Kiyoshi TAKAHASHI, Hiroyuki YANAI, Kazuhiko HAYASHI, Tadashi YOSHINO, Tadaatsu AKAGI (2nd Dept. Pathol. Okayama Univ. Med. Sch.)
【はじめに】我々は表在リンパ節の樹状細胞(LnDC)が location, phenotype, morphology の違いにより三つの主要なサブセットに識別しうること,これらのサブセットが単一系統の細胞分化段階あるいは活性化状態を反映していることを強く示唆する結果を得たので報告する。
【材料と方法】乳癌患者の腋窩リンパ節の凍結切片を作成し,LnDCを蛍光抗体二重染色にて検討した。また,cell suspensionを培養し,形態およびphonotypeの変化をフローサイトメトリー,免疫染色及び電顕にて検討した。【結果】LnDCは以下の三つのサブセット(1)リンパ洞に存在し,樹状形態を示さないCD1a+/CD86-/CD83dim LnDC (2)T-zoneに存在し樹状形態を示すCD1a-/CD86+/CD83+ LnDC (IDCに相当する) (3)大型樹状形態を示し,過形成を示すT-zoneに群をなして存在するCD1abright/CD86+/CD83+ LnDCに識別された。Flow cytometryでは(1)群がLnDCの大部分を占め,(2)(3)群は少なかった。(1)群に相当するLnDCを数日培養すると著明な樹状形態を発達させ,CD86およびCD83発現が顕著に増強すると同時にCD1a発現が減弱した。更に,電顕的にも典型的なIDCの超微像を示すようになった。(1)群のLnDCをGM-CSF存在下で培養すると顕著な樹状形態を呈し,多数のT-cellと大きな複合体を形成し,CD1a発現が著しく増強した。【結論】以上より,(1)群のLnDCは皮膚から遊走してきたばかりの比較的未分化なLnDCであり,これが成熟して(2)群のLnDC,即ちIDCに分化すること,また,(3)群のLnDCはactivated-LnDCであり,(1)群の未分化LnDCがGM-CSFなどの免疫刺激性のサイトカインの影響の影響を受けて変化したものであることなどが示唆された。