ABSTRACT 482(9-2)
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新規修飾制御法を用いたPEG-TNF-αの開発と抗腫瘍効果増強:角田慎一1,山本陽子1,金田喜久1,堤 康央1,平野隆2,真弓忠範11阪大・薬,2通産省生命研)

A new method of PEGylation and antitumor potency of PEG-TNF-α: Shinichi TSUNODA1, Yoko YAMAMOTO1,Yoshihisa KANEDA1,Yasuo TSUTSUMI1,Takashi HIRANO2,Tadanori MAYUMI1 (1Dept. Biopharmaceutics, Osaka Univ.,2Natl. Inst. Biosci. Human-Tech.)

【目的】我々はこれまで腫瘍壊死因子TNF-αなどのサイトカインを水溶性高分子でバイオコンジュゲート化することで、生体内安定性を飛躍的に向上させ得ること、さらに、用いる修飾高分子の特性を付与することによって体内挙動を制御し、サイトカインの有する多様な生理作用の中から目的とする治療作用を選択的に増強し得ることを報告してきた。
今後、バイオコンジュゲート医薬品の有用性・安全性ををさらに確保していくためには、従来までのバイオコンジュゲート法の欠点であった、ランダムなアミノ基修飾に起因する比活性低下を克服し得る新たな方法、すなわち活性発現に重要なアミノ酸残基を修飾することなくバイオコンジュゲート化し得る修飾制御法の開発が必要である。本研究では、TNF-αを用いて新規バイオコンジュゲート法の開発およびその評価を行った。【方法】修飾高分子として polyethylene glycol (PEG)を用い、pHリバーシブルなアミノ基保護試薬であるジメチル無水マレイン酸 (DMMAn)により、TNF-αのリジンアミノ基を一部保護した上でバイオコンジュゲート化した。PEG-TNF-αの比活性はLM細胞を用いて、in vivo 抗腫瘍効果はMeth-A 担癌マウスを用いて評価した。【結果】DMMAnを用いてバイオコンジュゲート化することで、より高比活性のPEG-TNF-αを作製できた。また in vivo においては副作用を伴うことなく、従来法と比較して、さらに2倍以上の抗腫瘍効果(未修飾体と比較して30倍)が認められた。以上の結果よりDMMAnを利用した新規修飾制御法の有効性が明らかとなり、バイオコンジュゲート医薬品分子設計に有用なアプローチが示された。