ABSTRACT 483(9-2)
新規肝臓送達法によるIL-2の肝癌治療効果の増強:○佐藤晴哉、林永子、谷田貝正宣、田畑智之、鈴木学、江島智子、高原義之(味の素(株)中央研究所)
Therapeutic efficacy of hepatic-targeting of IL-2 on hepatic tumor: Haruya Sato, Eiko Hayashi, Masanobu Yatagai, Tomoyuki Tabata, Manabu Suzuki, Chieko Ejima, Yoshiyuki Takahara (Central Research Lab. Ajinomoto Co., Inc.)
[目的] 癌に対する免疫療法剤であるIL-2の肝臓ターゲティングによる治療効果の増強。[方法、結果] 我々が開発したトランスグルタミナーゼを用いた蛋白質修飾法により、アシアロ糖蛋白質レセプター(ASGR)に対する合成低親和性3分枝型ガラクトースリガンド((Gal)3)を位置選択的(Gln74)に1分子導入したIL-2ハイブリッド体((Gal)3-IL-2)を調製した。(Gal)3-IL-2は未修飾IL-2に対しin vitro生物活性を保持し、マウス静脈内投与においてASGRを介した肝臓への顕著な集積が見られた。マウス分離肝細胞への取り込み実験で、(Gal)3-IL-2は細胞内へほとんど取り込まれず、分解されなかった。S908.D2.vp2肉腫を移植したマウス肝癌モデルにおいて、(Gal)3-IL-2投与群はIL-2投与群と比べ1/4の投与量で同程度の抗腫瘍効果を示した。臓器重量増加を指標とした(Gal)3-IL-2の毒性は肝臓において未修飾IL-2のそれと変わらず、肺において低い傾向を示した。[考察]低親和性リガンド((Gal)3)による肝臓ターゲティング型DDSは、IL-2を肝臓に集積させ、肝細胞へは取り込まれず、肝癌におけるIL-2の治療効果を増強しうると考えられる。