ABSTRACT 485(9-2)
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HGFアンタゴニスト (HGF/NK4)による癌の浸潤・転移抑制:伊達和彦1,2,久場敬司2,松本邦夫2,志村英生3,田中雅夫1,中村敏一21九大・医・一外,2阪大・医・バイオセ,3福大・医・一外)

Inhibition of tumor invasion and metastasis by HGF-antagonist (HGF/NK4).: Kazuhiko DATE1,2, Keiji KUBA2, Kunio MATSUMOTO2, Hideo SHIMURA3, Masao TANAKA1, Toshikazu NAKAMURA2 (1Dept. Surg. 1, Fac. Med., Kyushu Univ., 2Biomed. Res. Center, Osaka Univ. Med. Sch., 3Dept. Surg. 1, Fac. Med., Fukuoka Univ.)

【目的】私達はHGFをメディエーターとする癌−間質相互作用を介した癌悪性化の阻止を目的として,HGFアンタゴニスト(HGF/NK4)を調製し,HGF/NK4がin vitroならびにin vivoにおける癌の浸潤を抑制することを報告した.今回,HGF/NK4はin vivoにおいて転移抑制作用をもつことを見いだした.【方法と結果】HGFはマウスLewis肺癌細胞ならびにマウスJyg乳癌細胞のコラーゲンゲル内浸潤を強く促進したが,HGF/NK4はHGFによって誘導されるこれら癌細胞のin vitro浸潤をほぼ完全にブロックした.また,これら癌細胞をヌードマウス皮下に移植すると4週間後に肺転移が認められた.これに対して,HGF/NK4を癌周囲皮下に持続的に注入すると癌の浸潤が阻害され,さらに両癌細胞の肺転移はHGF/NK4によって濃度依存的に抑制された.【結論と考察】HGFは細胞間接着の抑制,細胞外マトリックスの分解促進,細胞遊走の促進など複数のカスケードの活性化を介して癌の浸潤能を高めている.HGF/NK4はこれら複数のカスケードをブロックすることによって強力な浸潤・転移阻害作用をもつと考えられる.最近明らかになったHGF/NK4のもつ血管新生抑制活性も含め,HGF/NK4は浸潤・転移ならびに腫瘍血管新生阻止を標的とした新しい制癌剤として期待できる.