ABSTRACT 487(9-2)
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環境エストロゲンによるラット下垂体腫瘍細胞株 MtT/ES の増殖:丸山聡、藤本成明、伊藤明弘(広島大・原医研・予防腫瘍)

Effects of environmental estrogens on a rat pituitary cell line MtT/ES : Satoshi MARUYAMA, Nariaki FUJIMOTO, Akihiro ITO (Dept.Cancer Res.,RIRBM,Hiroshima University)

【目的】我々はエストロゲン(E2)依存性増殖するラット下垂体細胞株MtT/ESを材料として環境エストロゲン(BisphenolA(BPA)、Methoxychor(DMDT)、Lindane、Dibromoacetic acid) の作用をin vivo とin vitroで比較検討した。【材料と方法】 1)E2受容体競合アッセイは、MtT/ESのサイトゾルを用いて、リガンドに3H-E2を使い、B/F分離はヒドロキシアパタイト法によった。2) MtT/ESの細胞株をE2(-)条件下で培養し、WST-1(改良MTT 法)を用いて増殖効果を測定した。3)F344雌ラットにMtT/ESを移植し、週に3回 BPA 0.1、1、10mgを腹腔内投与して、腫瘍生着をみた。【結果】 1) E2受容体競合効果は、BPA 10-5M、DMDT 10-4Mで 50%阻害を認めた。2)MtT/ES増殖効果はBPA 10-6M、DMDT 10-4Mで4倍増殖を認めた。3) In vivoでは、 BPA 1mg、10mg投与群で腫瘍数、大きさにおいて無投与群と比べ有意な増加を認めた(p<0.001)。【考察】環境エストロゲンのE2結合能とMtT/Es細胞の増殖は、よく一致し、その作用がERを介すると考えられた。また大多量のBPAはラット腫瘍増殖も用量依存的に促進し、in vivoでも作用し得る可能性を示唆した。MtT/ES細胞は環境エストロゲン物質のバイオアッセイ系として有用と思われる。