ABSTRACT 492(9-2)
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合成ステロイド剤ジエノゲストのDMBA誘発ラット乳癌に対する抗腫瘍効果:中田一恵1, 甲木由紀夫1, 笹川慎一1, 望月英典1, 山口建21持田製薬・富士中央研, 2国立がんセ・研・細胞増殖因子)

Anti-tumor effect of dienogest, a synthetic steroid, on the DMBA-induced rat mammary tumor model: Kazue NAKATA1, Yukio KATSUKI1, Shinichi SASAGAWA1, Hidenori MOCHIZUKI1, Ken YAMAGUCHI2 (1Fuji Central Res. Lab., Mochida Pharm. Co., Ltd.; 2Growth Factor Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

【目的】Dienogest (17α-cyanomethyl-17β-hydroxyestra-4,9-dien-3-one)は、progesterone様作用を主に有するステロイド剤であり、ヒト乳癌由来株細胞の増殖を強く抑制する。今回、我々はdienogestのDMBA誘発ラット乳癌に対する抗腫瘍効果をtamoxifenと比較検討した。【方法】SDラット(n=10〜11)にDMBA 20mg/ratを経口投与し、乳癌を誘発した後、dienogest 0.1, 1, 10mg/kg, tamoxifen 1, 10mg/kgを6週間、連日経口投与した。腫瘍面積を毎週1回測定し、試験終了後に臓器重量を測定した。【結果】Dienogestはいずれの用量においても腫瘍増殖を有意に抑制し、50%以上の退縮効果を示した動物の割合は、0.1mg/kgにて11例中2例 (2/11)、1mg/kg 3/10、10mg/kg 5/10であった。Tamoxifenによる50%以上退縮例は1mg/kg 3/10、10mg/kg 0/10であった。また、dienogest 1および10 mg/kgにおいて子宮重量が減少し、10mg/kgでは卵巣重量も減少し、progesterone様作用が示唆されたが、0.1mg/kgにおいてはいずれの値にも変化が認められず、dienogestの抗腫瘍効果におけるprogesterone様作用の関与は少ないものと考えられた。【結論】Dienogestは、DMBA誘発ラット乳癌の腫瘍増殖を抑制したことから、乳癌に対する新たなホルモン療法剤になり得ることが示唆された。また、作用機序にはprogesterone様作用のみならず、新たな機序を併せ持つ可能性も考えられた。