ABSTRACT 493(9-3)
 一般演題一覧 トップ 


マウスJagged1遺伝子のクローニングとその機能解析: 清水清 1, 千葉滋 1, 熊野恵城 2, 細谷紀子 2, 神田善伸 1, 矢崎義雄 1, 2, 平井久丸 11東大・病・無菌治療, 2東大・医・三内)

Cloning and characterization of mouse Jagged1 gene: Kiyoshi SHIMIZU1,2, Shigeru CHIBA1,2, Keiki KUMANO1,2, Noriko HOSOYA1,2, Yosinobu KANDA1,2, Yoshio YAZAKI1,2, Hisamaru HIRAI1,2 ( 1Dept. of Cell Therapy & Transplant. Med., Univ. of Tokyo Hosp.,2 Third Dept. of Int. Med., Univ. of Tokyo )

[目的]Notch 遺伝子ファミリーは無脊椎動物から脊椎動物の発生・分化・細胞の運命決定に関わる細胞膜受容体型の蛋白質であり、哺乳類では複数のNotch・リガンド分子の存在が知られている。また、ヒトでは急性リンパ性白血病にみられるt(7:9)転座の責任遺伝子としてNotch1(TAN-1)が同定されている。最近、このNotch 遺伝子ファミリーが血液細胞の分化調節に関わる等の報告がなされた。今回、我々は造血におけるNotchあるいはそのリガンドの機能を調べる目的で、マウスJagged1のクローニング・その機能解析を行ったので報告する。[方法]マウス胎児ライブラリーよりマウスJagged1の DSL領域をプローブにハイブリダイゼーション法を用いて、クローニングを行った。機能解析には、Jagged1の可溶化型レセプターを作製し、マウス造血細胞株を用いて結合解析、リガンド活性化能を評価した。[結果・考察]マウスJagged1はヒトJagged1と95%以上という非常に高い相同性を有する遺伝子であった。可溶化型レセプターを用いた解析より、マウス造血細胞株にCaイオン依存的に結合することと、全長Notch1を発現させた骨髄系前駆細胞株である32DのG-CSFによる分化を抑制することが明らかとなった。以上の結果より、今回クローニングしたJagged1がリガンドとして機能することとJagged1の造血幹細胞の分化を制御する可能性が示唆された。