ABSTRACT 495(9-3)
新規FGFであるアフリカツメガエルXFGF-17のクローニング: 足立直樹,古賀千恵,横山和尚(理研・筑セ)
Molecular cloning of XFGF-17 which is a novel member of FGF family in Xenopus laevis: Naoki ADATI, Chie KOGA and Kazunari K. YOKOYAMA (Tsukuba Life Sci. Ctr., Inst. Phys. Chem. Res. (RIKEN))
繊維芽細胞増殖因子(FGF)は発生や分化において様々な働きをしており、脊椎動物では現在少なくとも16種類のFGFが報告されている。しかし、アフリカツメガエルにおいては数種類のFGFしか単離されておらず、まだ未知のFGFが存在すると考えられた。そこで我々は、FGFファミリーの中でもFGF-9型のアフリカツメガエルFGFを単離するため、既知のヒトとラットFGF-9のアミノ酸配列間で保存されている領域を利用したdegenerate PCRによるPCR産物をプローブとしたスクリーニングを行い、新規FGFのクローンを得ることができた。このクローンのアミノ酸配列はFGFファミリーの中ではFGF-9に最も近いが異なり、FGF-9と高い相同性を示すFGF-16とも異なる。この遺伝子の性質を明らかにするため、次にその発現様式をXFGF-9と共に、RT-PCR及びwhole mount in situ hybridizationによって調べた。初期発生における両者の発現パターンは全く対照的で、XFGF-9が母性的に存在し、いったん消失した後、尾芽胚期に強い発現がみられるのに対して、この遺伝子の転写産物は母性的には検出できず、嚢胚、神経胚期で強く発現している。また、成体組織においてXFGF-9が脳、精巣、卵巣で強い発現がみられるのに対して、この遺伝子は強く胃に、そして他に精巣で発現していた。以上の結果から、我々が単離したクローンはFGF-9と配列上非常に相同性が高いものの、別の新たなFGFであると考えられ、XFGF-17と名付けた。