ABSTRACT 496(9-3)
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NTAKアイソフォームと標的受容体の解析:中野法彦,東山繁樹,石黒啓司,永津俊治,谷口直之阪大・医・生化,藤田学園・総医研)

Analysis of NTAK isoforms and its receptors: Norihiko NAKANO1, Shigeki HIGASHIYAMA1, Hiroshi ISHIGURO2, Toshiharu NAGATU2, Naoyuki TANIGUCHI1 (1Dept. of Biochem., Osaka-Univ. Med. Sch., 2ICMS, Fujita Health Univ.)

【目的】 NTAKは、neuregulinと蛋白質構造および標的受容体特性において類似性を示す新規ErbBリガンドである。今回、NTAKalphaおよびbetaアイソフォームの生物学的特性とmRNAの発現分布を検討した。
【方法・結果】 リコンビナントNTAKalpha、beta蛋白質は、NTAK細胞外ドメイン発現ベクターをトランスフェクションした大腸菌の菌体抽出液より精製した。NTAKalpha、betaを作用させたときのヒト乳癌細胞株MDA-MB-453細胞およびT47D細胞におけるNTAKレセプターErbBのリン酸化を免疫沈降法で検討した。NTAKalphaはErbB4よりErbB3を、NTAKbetaはErbB3よりErbB4を強くリン酸化し、共にErbB2のリン酸化を誘導した。さらに、ErbB2のキナーゼ部位を欠損したdominant-negative発現細胞にNTAKを作用させたところ細胞増殖の誘導が阻害された。また、ErbB2 antisense DNAを作用させた細胞においても同様の結果が得られた。また、NTAK mRNAの発現分布をPCRを用いて解析したところ、NTAKalphaは脳・胸腺・精巣・副腎など全身で発現がみられたが、NTAKbetaは脳にのみ局在していることが明らかとなった。
【考察】 NTAKalphaはErbB4よりErbB3に、NTAKbetaは ErbB3よりErbB4に高親和性を示し、ErbB2のtransactivationにより増殖シグナルを伝えることが示唆された。また、NTAKalpha、betaのmRNAの発現分布に大きな差が認められことから、NTAKalpha、betaの各々の特異的役割が示唆された。