ABSTRACT 498(9-3)
ヒトIL-3受容体遺伝子導入マウス未熟Bリンパ球系幹細胞の自己増殖と分化:平林容子1,児玉幸夫1,菅野 純1,黒川雄二2,横田 崇3,井上 達1(1国立医衛研・生物試験セ・毒性,2国立医衛研・生物試験セ, 3東大・医科研・幹細胞制御)
Regulation of selfrenewal and differentiation: B cell progenitor cells from mice carrying human IL-3 receptor genes : Yoko HIRABAYASHI1,Yukio KODAMA1,Jun KANNO1,Yuji KUROKAWA2,Takashi YOKOTA3,Tohru INOUE1 (1Cell. & Mol., Tox. Div., NIHS,2Biology Res. Center, NIHS,3Stem Cell Regulation, IMSUT )
幹細胞の増殖と分化の理解の為には幹細胞の自己再生性均等分裂と分化型不均衡分裂とを分界可能な増殖制御系が、技術的な要となる。我々の樹立したヒトIL-3受容体導入マウスの幹細胞に由来する未分化型リンパ球は、ヒトIL-3存在下では自己再生性に増殖する桑の実状の充実性コロニーを産生し、ヒトIL-3存在下では再播種性に同様の形状からなるコロニー形成をみる。このコロニーの構成細胞は比較的大型の芽球からなり、フローサイトメトリ解析によって側方散乱が少なく、表面抗原は、B220, CD19が陽性、表面オ抗原陰性で、かつ大部分はCD43が陽性を示すプロB細胞と同定される。一方、このものをIL-7を添加して培養すると、その容量に沿って細胞の大きさの小型化、側方散乱の増加、CD43の陰性化や表面オ抗原の陽性化といった分化型の表現型へと移行する。以上に述べたような導入IL-3受容体を介したシグナルにより制御されるB細胞クローンにおける自己再生と分化の制御系について述べる。