ABSTRACT 504(9-3)
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ヒト融合タンパクによるEGERターゲッテイング療法の開発におけるRNase familyの効果-cell line
およびcell free systemでの比較-:渡辺靖夫1,上田政和1,プサラスキリヤコス1,山村匡1,池田正1,榎本耕治1,北島政樹1,妹尾昌治2(1慶大・医・外,2岡山大・工)

The effect of RNase family in the development of targeting therapy for EGFR by human fusion protein:Yasuo WATANABE1,Masakazu UEDA1,Kyriakos PSARRAS1,Tadashi YAMAMURA1,Tadashi IKEDA1,Kohji ENOMOTO1,Masaki KITAJIMA1,Masaharu SENO2(1Dept.of Surg.Keio Univ.School of Med.,2Faculty of Eng.Okayama Univ.)

[目的]EGFRを過剰発現している症例は悪性度が高く、新しい治療法の開発が期待されている.免疫原性や副作用が少なく、より作用の強力なヒトタンパクのみより構成された抗癌剤開発を目指しRNase familyの効果をcell lineおよびcell free systemで比較検討したので報告する.[方法]三種類のヒトRNase(RNase1、4、des1-7[RNaseインヒビタ−結合部位を削除したRNase1])とヒトEGFを化学的にS=S結合にて架橋した.殺細胞効果の検討は、EGFR過剰発現ヒト扁平上皮癌細胞株A431、EGFR未検出ヒト肺小細胞癌株H69を用い、MTTアッセイ法にて判定した.RNaseとconjugateのyeast RNAに対する活性を比較した.[結果]A431に対して複合体は、RNase1、4、des1-7の三種類とも濃度依存的に殺細胞効果を認め、各々のIC50は1.0x10-5(M)、4.5x10-6(M)、1.3x10-7(M)とdes1-7RNase1が最も殺細胞効果が大きかった.三種類ともRNase単独、EGF単独、RNaseとEGFの混合物では殺細胞効果は認めなかった.H69に対しても殺細胞効果は認めなかった.しかしyeast RNAに対するRNase活性(U)は、RNase4:0.55(U)、RNase1:0.53(U)、des1-7:0.44(U)の順に大きかった.また各々のconjugateにおいて、RNase活性は損なわれていなかった.[結語]三種類のRNase familyの中では、des1-7RNase1が最も強力な殺細胞効果を持ち、その理由はRNaseインヒビタ−結合部位を削除したことによると考えられた.