ABSTRACT 506(9-4)
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細胞内情報伝達物質GRB-2の変異体遺伝子導入によるヒト肝癌細胞増殖制御に関する検討:和田滋夫1,佐々木裕1,堀本雅祥1,伊藤敏文1,田中好男1,外山 隆1,笠原彰紀2,林 紀夫1,堀正二11阪大・医・一内,2阪大・医・総合診療)

Growth inhibition of human HCC cells by GRB-2 dominant negative mutants:Shigeo WADA1, Yutaka SASAKI1, Masayoshi HORIMOTO1, Toshifumi ITO1, Yoshio TANAKA1, Takashi TOYAMA1, Akinori KASAHARA2, Norio HAYASHI1, Masatsugu HORI1 (11st. Dept. of Med. Osaka Univ. Sch. of Med., 2Dept. of General Med. Osaka Univ. Sch. of Med.)

[目的] GRB-2は、増殖因子受容体あるいはその基質からのシグナルをRas/MAPK系へ伝達する細胞内情報伝達物質である。我々は、既にヒト肝癌組織において、GRB-2が増殖因子受容体及び他の情報伝達物質との結合を増強させることで下流への情報伝達を亢進させ、その増殖・進展に関与することを示した。今回、GRB-2の機能制御による肝癌細胞増殖抑制効果について検討した。[方法] GRB-2を構成する1つのSH2 domain及び2つのSH3 domainのうちいずれかのdomainを欠失した変異体(mutant)のcDNAを組み込んだ発現ベクターを作製し、cationic-liposome法にてヒト肝癌細胞株HepG2に遺伝子導入した。各mutantの発現、及び内在性GRB-2と他の情報伝達物質との結合を免疫沈降・Western blotにて、MAPK活性をMAPK assay kitにて、細胞増殖速度をMTT法にて検討した。[結果] 各mutant導入細胞において、wild type GRB-2導入細胞に比べて、内在性GRB-2と他の情報伝達物質との結合及びMAPK活性が抑制され、細胞増殖速度も低下した。[結語] GRB-2を介した細胞内情報伝達系の機能を制御することで、肝癌の遺伝子治療を行いうることが示唆された。