ABSTRACT 508(9-4)
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ヒト膵癌細胞株におけるVEGFのシグナル伝達と細胞増殖の解析:佐々木民人,土田明,平田学,岩尾年康,松原賢治,山本滋,川崎陽介,森中賢二,藤本佳史,井上寛己,刈屋憲次,梶山梧朗 (広島大・医・1内)

Signal transduction and proliferation of VEGF on human pancreatic cancer cell line: Tamito SASAKI, Akira TSUCHIDA, Manabu HIRATA, Toshiyasu IWAO, Kenji MATSUBARA, Shigeru YAMAMOTO, Yohsuke KAWASAKI, Kenji MORINAKA, Yoshifumi FUJIMOTO, Hiroki INOUE, Kenji KARIYA, Goro KAJIYAMA (1 st. Dept. Int. Med. Hiroshima Univ. Sch. of Med.)

【目的】VEGFは血管内皮細胞に特異的な増殖因子・透過性因子として発見されたポリペプチドであるが、近年種々のがんにおいても発現が認められている。がん増殖におけるVEGFの役割は、paracrine regulatorと考えられてきたが、我々はこれまでにヒト膵癌においてVEGFはautocrine growth regulatorとして作用する可能性を報告してきた。今回われわれは、VEGFによって誘導される細胞増殖のメカニズムについてMAP kinase familyに注目して検討した。【方法】シグナル伝達は、ヒト膵癌細胞株(PANC-1)を低血清下で培養し、0.2nM VEGFを添加した。その後、蛋白を抽出しWestern Blot法で検討した。細胞増殖活性は、低血清下で培養した細胞をMEK-1 inhibitorで前処理後、VEGFを添加し、24時間後の細胞増殖能をcell proliferation assayで検討した。【結果】VEGF添加後ERK1/2、MAPK p38は経時的にリン酸化を認めた。MEK-1 inhibitorの前処理により細胞増殖活性は抑制される傾向にあった。【結語】ヒト膵癌では、VEGFによって誘導される細胞増殖活性の亢進はERK1/2を介する可能性が示唆された。