ABSTRACT 511(9-4)
OX40のシグナル伝達路活性化によりTRAF2, TRAF5を介するNF-kBの活性化が起こる:川真田伸1,堀利行1,伊村明浩2,高折晃史1,内山卓1,3(1京大・ウイルス研,2阪大・細胞セ,3京大・医・血液病態)
Activation of OX40 signaling pathways leads to TRAF2- and TRAF5-mediated NF-κB activation: Shin KAWAMATA1, Toshiyuki HORI1, Akihiro IMURA2, Akifumi TAKAORI1, Takashi UCHIYAMA1,3 (1Inst. for Virus Res. Kyoto Univ., 2Inst. for Mol. and Cell. Biol. Osaka Univ., 3Dept. of Hematology Kyoto Univ.)
「目的」TNF-Rファミリーの一員であるOX40は活性化T細胞、ATL患者の白血病細胞、及び一部のHTLV-I感染T細胞株に発現している。今回、我々はOX40を介するシグナル伝達路の解析を行ったので報告する。「方法と結果」(1)ヒトT細胞株HSB-2にOX40やOX40の細胞質内領域を種々に欠損させたcDNAを導入した細胞株を作成し、リガンド刺激後の細胞内事象をゲル シフト法で検討した結果、NF-κBの活性化が認められた。 また、アミノ酸配列 256-263 (GGSFRTPI)から成る細胞質内領域がNF-kBの活性化に必要であることが判明した。(2) OX40とTRAF1-5のcDNAをco-transfectionした293T細胞の溶解物を用いた共沈実験を行った結果、TRAF2,3,5がOX40に結合することが認められた。(3) OX40の細胞質内欠損蛋白とTRAF1-5のcDNAを導入した293T細胞の溶解物を用いた結合実験を行った結果、アミノ酸配列 256-263 (GGSFRTPI)から成る細胞質内領域がTRAFsとの結合に必要であることが判明した。 (4) HSB-2-OX40細胞にTRAF2,5のN末端側欠損型やTRAF3を強制発現させた際のNF-κBの活性化をレポーター遺伝子を用いて検討した結果、TRAF2,5がNF-κBの活性化を仲介していることが判明した。 一方、TRAF3を強制発現させた実験では、TRAF3がTRAF2,5が仲介するNF-κBの活性化を抑制している可能性が考えられた。「考察」OX40/gp34系は活性化T細胞と血管内皮細胞との接着にも関与しており、以上の結果は、活性化T細胞及びHTLV-I感染T細胞が血管内皮細胞と相互作用する際に、T細胞内に生じる初期事象を反映したものであると考える。