ABSTRACT 514(9-4)
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インスリンは腫瘍細胞におけるADPリボシル化因子-ホスフォリパーゼDシグナルを活性化する:
照井 健, 村上 系, 高田弘一, 平山 敦, 瀧本理修, 加藤淳二, 新津洋司郎 (札幌医大・四内)

Insulin activates ADP ribosylation factor-phospholipase D signal in human cancer cells : Takeshi TERUI, Tsuzuku MURAKAMI, Kohichi TAKADA, Atsushi HIRAYAMA, Rishu TAKIMOTO, Junji KATO and Yoshiro NIITSU (4th Dept. Int. Med., Sapporo Med. Univ. Sch. Med.)

【目的】インスリンは血糖降下作用ばかりでなく細胞増殖、蛋白合成促進などさまざまな作用を有する。その作用機序は受容体チロシンチナーゼの活性化に引き続くIRSのリン酸化、PI-3キナーゼ、MAPキナーゼなどの活性化が報告さているが未だ不明な点が多い。我々はこれまでADPリボシル化因子(ARF)が酸性リン脂質により活性化されることを報告してきた(J.Biol. Chem. 269, 28130)。一方、ARFは小胞輸送に必須の低分子量G蛋白であることから、インスリン刺激による糖輸送担体のトランスロケーションやPLDを介して細胞増殖シグナルに関与することが想定される。そこで今回我々は、インスリンがARFおよびPLDを活性化するか否かを検討した。【方法および結果】 1)ヒト胃癌由来細胞株TMK-1の細胞膜PLD活性を[3H] ホスファチジルコリンを基質として測定したところ、インスリンの濃度および時間依存性に増加し、300nM、5分の刺激により2倍に増加した。2)インスリン刺激により細胞膜のARF活性化(GTPgammaS結合)は4倍に増加した。3)PLD活性はARFの活性化を阻害するBrefeldin Aにより60%が抑制された。【結語】ARFおよびPLDはインスリンのシグナルアクセプターとして機能していると考えられた。