ABSTRACT 515(9-4)
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TGF-βのシグナル伝達分子Smadの作用機構:今村健志、川畑正博、花井順一、井上博文、石堂康弘、西原順子、羽生亜紀、宮園浩平(癌研・研・生化)

Molecular mechanism of the actions of Smads, signal transducers of TGF-β : Takeshi IMAMURA, Masahiro KAWABATA, Jun-ichi HANAI, Hirofumi INOUE, Yasuhiro ISHIDOU, Ayako NISHIHARA, Aki HANYU and Kohei MIYAZONO (Cancer Institute, Dept. of Biochemistry)

TGF-βは多くの細胞に対して増殖抑制因子として働く。癌細胞によっては悪性度が増すに従い、TGF-βに対する増殖抑制を受けなくなることが知られており、細胞の自律性の増殖とTGF-βのシグナル伝達が密接に関係していると考えられている。最近になって、TGF-βのシグナル伝達分子としてSmadという新しい蛋白分子群が明らかにされた。この中でSmad4 (DPC4)は元来は膵臓癌の約半分で変異がみられる癌抑制遺伝子として発見されたものである。またSmad2の遺伝子はSmad4に隣接して位置し、大腸癌などで頻度は少ないが変異がおこることがわかっている。TGF-βのシグナルはSmad2、Smad3およびSmad4により伝達される。Smad2とSmad3はレセプターより直接リン酸化を受け、Smad4と複合体を形成し、細胞質から核へと移行する。我々はレセプターからの活性化に従ってSmad2とSmad3の各々がSmad4と複合体を形成するのみならず、Smad2とSmad3が直接結合することを報告してきた。そしてTGF-βのシグナルを負に制御している新しいSmad6を同定した。今回は、これらのSmadのシグナル伝達機構についてさらに解析を進めたので報告する。