ABSTRACT 529(11)
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上皮性卵巣癌におけるThymidine phosphorylase mRNA発現の検討:秦 幸吉1,上川龍彦2,荒尾慎二3,田代浩徳3,片渕秀隆3,岡村 均3,宮崎康二1,福本 学41島根医大・産科婦人科, 2京都大・第一病理,3熊本大・産科婦人科,4東北大・加齢研)

Expression of thymidine phosphorylase gene in epithelial ovarian cancer :Kohkichi HATA1,Tatsuhiko KAMIKAWA2, Shingi ARAO3,Hironori TASHIRO3,Hidetaka KATABUCHI3,Hitoshi OKAMURA3, Kohji MIYAZAKI1, Manabu FUKUMOTO4 (1Dept. of OB/GYN, Shimane Med. Univ., 21st Dept . of Pathology, Kyoto Univ., 3Dept. of OB/GYN, Kumamoto Univ., 4Inst. of DAC, Tohoku Univ.)

【目的】上皮性卵巣癌におけるThymidine phosphorylase(TP)mRNAについてRT-PCRを用いて検討した。【方法】56例の上皮性卵巣癌(境界悪性腫瘍:8例を含む)を対象とした。手術時摘出標本を用い、TPmRNA発現をβ2 microglobulin(β2 MG)をinner controlとするRT-PCRを行い測定した。TP/β2 MGと臨床的および病理組織学的因子との相関について検討した。【結果】(1)TP/β2 MGは0.19 - 5.38 (median; 0.93)であった。(2)TP/β2 MGと臨床進行期および組織学的分化度との間にそれぞれ有意な相関が認められた(P = 0.005, P = 0.008) 。(3)34例において完全切除が行われ、その内8例に再発が認められた。再発例は非再発例に比較して有意に高いTP/β2 MGを示した(P = 0.048)。(4)47例で予後追跡可能であり(2 - 120カ月、 median; 36カ月)、累積生存率はTP/β2 MGの高い群(≧0.93, n=25)がTP/β2 MGの低い群(<0.93, n=22)に比較して有意に低かった(Log rank test, P = 0.021)。TP/β2 MGに臨床的および病理組織学的因子を加えたCox's proportional hazard modelを用いた検討では、TP/β2 MGは独立した予後因子とは成り得なかった。【結論】上皮性卵巣癌におけるTPmRNA発現はaggresive tumor phenotypeを示唆していると考えられた。