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乳癌における p27とCyclinEの発現の検討:吉田龍一,木村伯子,大内憲明,名倉宏,里見進東北大・医・第二外,東北大・医・病理・病理形態学)

Analysis of Expression of p27 and CyclinE in Breast Cancer : Ryuichi YOSHIDA,Noriko KIMURA,Noriaki OUCHI1,Hioshi NAGURA,Susumu SATOMI (Dept.of 2nd Surg.,Tohoku univ.,Dept. of Pathol. Morphology Div.,Tohoku univ.)

【緒言】p27は細胞周期におけるCyclin/Cyclin-dependent kinase (Cdk)の活性を阻害し、G1期からS期への進行を停止させるCdk inhibitorであり、CyclinEはG1後期に発現、CdkのひとつとしてS期へ進行させる働きをする。最近、これらが乳癌にの新しい予後因子として報告されている。【目的】乳癌におけるp27とcyclinEの発現を検討し、他の予後因子との相関を検討した。【対象】1989〜94年に当科で手術された乳癌症例122例を対象とした。【方法】10%ホルマリン固定、パラフィン包埋標本を用いてABC法にて免疫染色を行い、p27とCyclinEの発現とER、PR、C-erbB-2の発現、組織学的悪性度を検討した。【結果】p27はほとんどすべての症例の癌細胞に発現したため、すべての癌細胞に強く発現したものを陽性(72例)、それ以外を陰性とした(50例)。CyclinEは全腫瘍細胞に発現するものはなかったため、全く発現しなかった例を陰性(64例)、少しでも発現があれば陽性(58例)とした。p27とCyclinEの発現は逆相関の関係にあった。p27とER、PRには相関がみられ、CyclinEはER、PRと逆相関傾向がみられた。C-erbB-2の発現は、CyclinE陽性例に多い傾向があった。また、p27陽性例は組織学的悪性度が低く、CyclinE陽性例は高い傾向がみられた。【結論】p27陰性例、CyclinE陽性例は、予後不良である可能性が示唆された。