ABSTRACT 534(11)
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大腸癌遺伝子異常と治癒切除後再発との相関:藤田 伸, 深山紀子, 菅野康吉, 三宅秀夫, 赤須孝之, 森谷宜皓国立がんセ・中央病・外,臨検)

Correlation of genetic abnormality with recurrence after curative resection of colorectal cancer.: Shin FUJITA1, Noriko FUKAYAMA2, Kokichi SUGANO2, Hideo MIYAKE1, Takayuki AKASU1, Yoshihiro MORIYA1 (1Dept. Surg., 2Div. Clin. Chem., Natl. Cancer Center)

(目的)K-ras,p53遺伝子異常の有無と大腸癌治癒切除後再発との相関を検討する.(方法)1994年9月より1996年9月までに治癒的に切除された大腸癌127例につきK-ras点突然変異,p53 LOHおよび点突然変異を検出し,再発との相関をprospectiveに検討した.PCR-SSCP法にて,p53 intron 1, exon 4, intron 7のLOHおよびK-ras codon 12,p53 exon 5, 6, 7, 8の点突然変異を検出した.(結果)フォローアップ期間は,中央値30か月,最短18か月,最長42か月であった.1998年4月の時点で127例中21例(17%)に再発が認められた.K-rasの点突然変異は,1995年9月までの74例を解析し,点突然変異は29例(39%)に認められた.74例中18例(24%)に再発が生じ,点突然変異例29例中再発は9例(31%)であった.K-ras点突然変異と再発との相関は認められなかった.p53 LOHは,127例中74例(58%)がinformativeで,LOH例53例中10例(19%)に再発が生じ,Retain例21例に再発はなく,p53 LOHと再発に強い相関が認められた(p = 0.03).p53点突然変異は,127例中62例(49%)に認められ,p53点突然変異例62例中再発は10例(16%)であった.p53点突然変異と再発との相関は認められなかった.重回帰分析により,深達度,リンパ節転移程度,p53 LOHの3因子の再発に対する影響を多変量解析したところ,リンパ節転移程度のみが有意な再発因子であった(p = 0.0001).(結語)p53 LOHと大腸癌再発との間に強い相関が認められるが,リンパ節転移程度以上の予後因子とはならない.